こんにちは、大石です。
先週24日はiPhone4の発売日でしたが、みなさんは購入されましたでしょうか?
私はiPadを買ったばかりにも関わらずiPhone 4もしっかり購入して、すっかりジョブズ教信者になりつつあります。
iPhoneは3G、3GSと2世代にわたって使っており、すっかり生活の一部に溶け込んでいます。仕事に、プライベートにとiPhoneは大活躍しているのですが、仕事とプライベートの両方にあまりにも深く食い込んでいることから、今日は、この「iPhoneというコンシューマー向けプロダクトが、企業にどのような影響を及ぼすのか」ということについて私見を述べたいと思います。
これまで企業が採用してきた情報システムのポリシーは、全く共産主義そのものでした。「情報共産主義」と言ってもいいかもしれません。配給制によって皆が与えられたものを使い、制限された情報にのみアクセスし、壁を作って自由な出入りを制限する、というスタイルです。「セキュリティを守る」という大義名分の下、情報は「出る方」だけでなく「入り」の方もフィルタリングなどによって制限されていました。会社でYouTubeや2ちゃんねるなどへのアクセスが制限されていらっしゃる方には、心当たりがあるものと思います。
▼共産主義と企業の情報セキュリティの相似
こうした「情報の統制」を前提にした共産主義モデルは、秩序をもたらします。企業にとって実に都合が良い。出入り口さえ見張っていれば良いからです。ベルリンの壁は、共産主義による必然です。
企業でも、ノートパソコンの持ち出し禁止、特定サイトへのアクセス禁止、アクセス履歴の検閲、メールの検閲、出入口でのICカード認証、など出入り口での厳しいチェックが行われていることは周知の通りです。よく中国のグレートファイヤーウォールが情報統制だと批判を浴びますが、日本では各企業がこうした出入口の検閲をやっている。
これに対して、「自由」には「混沌」がつきものです。特にセキュリティに対する要求から、統制と秩序を求める企業にとっては不適と見るむきもあるでしょう。ですが、共産主義による欲求の制御が民主主義に淘汰されるのは歴史の必然です。
企業が個人の活動を制限できないことは明らかであり、かつ個人が利用しているtwitter、facebook、mixi、YouTubeといったコンシューマー向けサービス、iPhoneやiPad、Android端末といったコンシューマー向け機器を仕事でも使いたいという欲求は、誰もが持つ自然なものであることも同様に明らかです。
「個人向けの製品やサービスが企業に浸透すること」を、ガートナーはコンシューマライゼーションと呼んでいるそうですが、これが実際に目の前で起こりつつあります。企業経営者、情報システムに携わる方が、こうした端末やサービスを体験し、来るべき未来の情報共有の在り方を想像することは責務だと考えます。
既にベルリンの壁は壊れかかっています。
「与えられた物での満足を強要する」
という、歴史によって生存可能性の低さが証明されているモデルにしがみつくのではなく、混沌を受け入れつつも、クラウド化されたアプリケーションやソーシャルネットワークが生み出すスピード感、斬新な発想やアイディア、消費者との新しい関係を会社の力として転化する仕組みこそが、遠くない将来における情報システムの在り方、ひいては会社の在り方を決定づけるものであると確信します。
当社のメンバーは、(会社支給でないにも関わらず)27名中15名がスマートフォンユーザー、9名がiPadユーザーという異様な程の普及率の高さですが、これは「企業が共産主義を採用しなければ、これだけのユーザーが仕事にiPhoneやiPad、Android端末を使いたがっている」ことの証左であるともいえます。
私が考える「経営者がiPhone/Android端末を買うべき理由」:
- 企業が今持っている共産主義的ポリシーが早晩瓦解することは、既に起こった未来である事実を実感すること
- 個人の知恵を会社の知恵にするための仕組みを作ること。その為にSNSやtwitterの様なコンシューマー向けサービスを体験し、理解すること
- 従業員を信頼し自由な権利を付与するとともに、それに伴う適切な義務を課し、企業としてのセキュリティ要求とバランスさせること
上記3点は、これからの企業に求められる情報システムの本質だと確信します。私自身、1経営者として、1コンシューマーとして、ITが私たちの生活と会社に与える影響をよく見極め、少しでも理想とする形に近付きたい、そんな思いで6月24日にiPhone 4を手にしました。
最後に、
「6月24日は休んですみませんでした」 m( )m