大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

「起業が前提」という人を採用するか否か?

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こんにちは、大石です。

就職活動もいよいよ佳境にさしかかっており、当社でもすでに複数の内定者が出ています。その中の一人に、「将来起業したい」という学生がおり、面接官も「どうしたものか」扱いに困ったようなので、私なりの考えを記しておきたいと思います。

結論は「人を見て決める」

答えになってないじゃないか!というツッコミが聞こえてきそうですが、「起業までの時間がある程度あり、それまでの間にパフォーマンスを発揮してもらえそうであればOK」というのが私の考えです。
「3年で起業します」という人を採用する企業はあまり無いと思いますが、たとえば「35で起業」という人であれば、戦力として期待できる26~34の間に、採用・教育コストを上回るパフォーマンスを発揮できそうかどうかで判断すれば良いと考えます。

よく、「面接時に(退職が前提の)起業の話をするのは御法度」と、就活サイトなどには書いてあるようです。ですが、実はみんな意識していないだけで、「どんな人でも必ず退職までのタイムリミットはある」と私は考えています。定年退職だって立派な退職ですし、転職、結婚、死亡など、理由は何にせよ「どんな人も例外なく、いつかは会社を去らなければいけない」という点では、社長を含め皆一緒です。

「起業する」と心に決めているのであれば、起業の仕方、コツ、失敗を回避するやり方は私が直接教える()。その代わり人よりも集中して働き、短い時間で結果を出すことを期待する。非常にフェアで、働く人にとっても、会社にとっても、大きなメリットのある働き方だと思います。
(
)大きな会社の社長さんはサラリーマン上がりの方が多いので、起業のノウハウを教えることが出来ないという事情もあります

殆どの人に経験があると思いますが、自分にミッションを課して実行することの方がずっと難しい。だからこそ、人から課されたミッションごとき達成できない人に、自らのミッションを達成できるはずが無いと私は考えます。ですから、何とはなしに就活し、何とはなしに仕事をする人よりも、起業を決めている人はずっと目的意識とミッションに対する達成意欲も高いのではないかと推察できる。事実、私自身前職では起業が前提で働いていましたが、他の人よりも倍働き、結果を出していた自負があります。どのような仕事も「起業した時に役立つ」と思えば、仕事が楽しく、気づきに溢れた場に見えたことが理由です。

もちろん、採用計画もポートフォリオが大切ですから、「将来起業したい人だけを集めれば良い」と言う話ではありません。ですが、普通に就職する人々の集団に、高い目的意識、将来の夢というオイルが加わることで、チーム全体としてのモチベーションの火がまた少し熱くなる、そんな効果が期待できると思っています。

「採用時に退職の話をしただけでNG」というのでは、働く前から「ずっと御社で働きます!」という偽りの忠誠心を見せつける人しか採用できないことになってしまいます。忠誠心というのは、両者の長期にわたる関係の中で自然に構築されるもので、先ず忠誠心ありきという話では無いはずです。
私たちは、採用する側という強い立場を振りかざす理不尽な踏み絵をさせるのではなく、お互いが納得し、満足できる採用活動をしていきたい。そのためにも、いろいろな考えの人を採用する度量が企業にも必要なのだと考えます。