大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

クラウドを使わないと危険かもしれない、という状況

記事タイトルとURLをコピーする

 

こんにちは、大石です。

先日(6月2日、3日)にAWS Summit Tokyoが開催され、当社もGold Sponsorとして出展して参りました。
発表の内容などは後日ビデオが公開されるそうですのでそちらに譲るとして、今年のAWS Summitで感じた印象をレポートしたいと思います。

AWS Summitにおける長崎社長のキーノートで最も印象的だったフレーズは "Cloud has become the new normal" です。
クラウド(というかAWS)は既に標準的な位置を占めていて、むしろ使わない理由を探さなければいけない状況に来ているという現状が、ユーザーからの強力なエンドースメントとともに紹介されました。
私も、ユニクロファーストリテイリング)の玉置CIOがおっしゃった「AWSを使う理由は、ラージコミュニティがあること」という言葉はとても印象深く聞いていました。
世の中にJavaが広がり始めたとき、Javaを使ってシステムを構築するというチャレンジは、それなりの勇気が必要だったと思うのです。ところが、Javaにコミットするパートナーが出てきて、それをフォローする形で大手SIerJavaを扱いはじめ、そしてJavaが浸透してある一定の閾値を超えると、Java以前の言語を使っている方がリスクが高くなるという「逆転現象」が起きたと考えられます。
AWSJavaと同様に、その閾値を超えた」というのが今年のAWS Summitの感想です。

実際、新しくて有力な技術が市場を取ることが分かれば、企業は古い技術への投資を削減し新しい技術に投資をしますし、優秀なエンジニアは未来のない技術しか扱わない場所よりも新しい技術に投資をする場所に(自分のキャリアのために)移ると考えられます。そうなれば、ユーザーは「技術が枯れているから安心」だと思っていたら、「古い技術を扱うエンジニアの絶対数が減り、さらに(相対的に)優秀とはいえないエンジニアしか市場におらず、枯れていたはずの技術の維持コストが高くついてしまう」という逆転現象が起きてしまいます。

私たちも、AWS Summit Tokyo 2013でインテージ様の事例を発表させて頂くために許諾を得に伺った際、饗庭部長から意外なお言葉を頂いたことをよく覚えています。普通、事例公開で「どんどんやってくれ」と言われることは無いのですが、饗庭部長から
「どんどん公開して欲しい。むしろインテージAWSの様な新しい技術に積極的に投資をしていることを宣伝してほしい。その方が当社に優秀なエンジニアが集まって好都合だ」
というお話をお聞きし、技術への投資というものは、そこまで考えてやるものなのだと再認識した覚えがあります。

これから先も、有力な製品はAWS対応を進め、優秀なエンジニアはAWSが使える環境に籍を移し、企業はAWS周辺に投資を集中させるという傾向が継続することは明らかです。

昨年のAWS Summit Tokyo 2014で、丸紅の徳田部長が
「もし2020年にサーバーが残っていたら、そんな投資を通したのは誰なのかを経営に説明しなければいけない」
と仰っていた状況が本当に訪れようとしている。そんな想いを新たにするAWS Summitでした。

AWSを使わなければ危険」と言ってもいいような状況が生まれつつあることは間違いありません。
(実際、Gartnerは2015年のIaaS市場をレポートしたMagic Quadrantの中で "AWS is the safe choice" と言っています)

私たちは、そのラージコミュニティの一翼として、これからもAWSは、サーバーワークスの様なパートナーがいるから安心」と思って頂けるような存在で居続けられるよう、努力を続けていきたいと思います!