大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

不採用は会社の責任

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こんにちは、大石です。

年始のブログでもお伝えさせて頂いた通り、AWS事業は非常に順調で2013年も人手不足が予測される事態が続いております。
積極的な採用を継続している関係もあり、お陰様で非常にたくさんの候補者の皆さんとお会いできています。

ですが、たくさんの方がご応募くださると言うことは、逆にたくさんの方にお断りをしなくてはいけない、ということを意味しています。このことについて、私の方から、残念ながらお断りさせて頂いた方々にお詫び申し上げたいと思います。

 

私たちはフィードバックや振り返りをとても大切にしています。
何か活動を行ったときは、その振り返りを必ずやっています。
新卒採用、展示会、LT、サバソニ、各プロジェクト。
振り返りから、次の活動のヒントを得る、いわゆるPDCAを大切にしています。
ですが、採用だけはこれができない。
採用した人のことは分かりますが、「採用という判断に至らなかった人」については、振り返りができないのです。

 

「採用の失敗」とは2つ。

「間違った人を採ってしまう」

ことと

「本当は採用すべきだった人を、採用しなかったこと」

 

前者の方は、そもそも絶対数が少ないので問題になるケースは少ないのですが、後者については、「一緒に仕事をする機会が無い」ので振り返りようが無いのです。

 

「私は何千人と面接したから、面接の達人だ」などと豪語するような人がいますが、私はそんな人を信用しません。どんなにたくさんの採用をこなした人でも、「不採用という判断をしたことによってその会社がどれだけの損失を被ったのか」については、その人は知る立場にないからです。その事実を顧慮せずに達人を謳うのは、自らの知慮の浅さを喧伝しているようなものです。
私たちは、何回面接を行っても、永遠に面接の素人です。なぜなら、自らが下した結果の9割について、その答えが分からないからです。

 

今まで当社に応募されて、不採用になってしまった方に、改めてお詫び申し上げます。
私は、私たちは、みなさんと仕事をしないという判断をしたことによって、とてつもない損失を被っているかもしれません。みなさんと一緒に働けば、よりよい未来が築けたかもしれません。
とても残念なことに、私たちはそれについて何も分からないのです。「一緒に仕事をする」という選択をしなかったことによって当社が被った損失について、知るすべが無いのです。
採用に至らないという結果は、人格の否定でも、経験の否定でも、能力の否定でもありません。分からないなりに試行錯誤し苦悩の結果導かれた、苦渋の決断です。

私たちが「採用しなかった」のではなく、「私たちにみなさんの能力を見抜く力が無かった」可能性もあります。
限られた時間の中で、個人の能力にスポットライトをあてて、当社でそれがどのように光るのかイメージすることは、容易なことではありません。面接官の方がスポットライトの当て方を知らず、愚かで、想像力に欠けているかもしれません。
ビートルズがデビュー前にデッカのオーディションに落ちたことと同じように、私たちの愚かさによって、不採用という間違った結果をもたらしている可能性も(恐らくかなり高い確率で)あるのです。

 

私たちに資源が充分にあれば、「働きたい」と申し出てくださっている方を断る理由はどこにもありません。ですが、残念ですが私たちには非常に限られた資源しか無い。「不採用」になってしまうのは、ある意味「資源のせい」でもあるのです。そして資源の制約は私たちの責任です。

つまり、

「不採用になってしまうのは、私たちが限定的な資源しかもたない未成熟さによる」わけです。

大変ありがたいことに「サーバーワークスで働きたい」と申し出てくださっているにも関わらず、お断りしなければいけないことについて私が謝罪する理由はまさにここにあります。

 

「あなたのせいではなく、私たちのせいで不採用になってしまったのです」

そのことについて、本当に忍びなく、申し訳なく思っています。

 

私たちは、採用の失敗を最小にすべく、わからないなりに工夫を続けています。
そして、「サーバーワークスで働いてみたい」と手を挙げてくださる、できるだけ多くのみなさんと仕事ができるよう、資源の拡大に努めます。そして、一度はご希望に添えなかった方でも「再チャレンジしたい!」と思って頂けるような会社になるよう、日々努力することをお約束して、お詫びに代えさせて頂きたいと思います。