大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

完全リモート環境におけるキックオフのノウハウ集(2021年4月版)

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こんにちは、大石です。

先月のCloud Update for Businessの動画の中で「年度キックオフを完全なリモート環境で行ったが、意外と一体感があって良かった」という話をしたところ、これをご覧になっていたお客様から「どういうやり方をやったのか教えて欲しい」というお問い合わせを頂きましたので、現時点におけるサーバーワークスのキックオフのフォーマットと、そこに至る経緯を共有させていただきます。皆さまの会社でのキックオフ等イベント運営のご参考になれば幸いです!

 

2021年4月時点でのリモートキックオフのフォーマット

  • 前半(事業戦略パート)
    • 司会が進行を務めるが、発表は事前に収録された動画を配信
    • 1スピーカーは10分〜15分くらいで、部署長が発表
    • 時間は2時間半くらいだが、こまめに5分程度の休憩を挟む
  • 後半(コミュニケーションパート)
    • リモート環境で社員同士のコミュニケーションが減っているため、様々な会社の取り組みやプロジェクトを紹介し、誰がどんなことをやっているのか理解を深めるための時間とした
このフォーマットの良いところ
  • タイムキーピングが正確になる。リモート環境だと物理イベントよりも時間の遅延などにイライラしてしまうが、このフォーマットの場合話者が時間を守らない、配信トラブルで待たされるといったことがなくなり、運営が円滑になるだけでなく、参加者のストレスも大幅に削減できた
  • みなが同じタイミングで同じコンテンツを見つつ、チャットでもコミュニケーションできるので、一体感が出る。当社の場合、事前にSlack上に「キックオフでリアルタイムに会話をするためのチャンネル」を用意しておいたので、みんながそこに集まってニコ生の様に盛り上がることができた
  • 時間を短縮できる。リアルタイムにプレゼンをすると、どうしても情報以外の話や間などがあり時間を余計に使ってしまうが、事前に収録することで情報の密度を高めることができ、必要な情報をインプットするための効率を高めることができる

 

このフォーマットに至る経緯
  • 最初のリモートキックオフは、スピーカーが物理的に配信設備のある場所に集まって、オーディエンスは全員リモートというやり方を試したが、これはイマイチだった。まず「スピーカー」が「あちら側」、オーディエンスが「こちら側」といった感じで、どうしても距離を感じてしまう。かつ配信も(相当な機材や準備をすれば別だが)音声や映像の質、コンテンツの見せ方などのクオリティが上がらず、伝えたい情報に対してノイズが多くなってしまう
  • こうした反省を踏まえ、その次のキックオフはスピーカーも全員リモートにしたが、これはこれで新たな課題が見つかった。特に全員リモート環境だと配信トラブルやスピーカーの切替に時間がかかり、タイムキーピングが難しくなる。リモートによるリアルタイムのプレゼンだと身振り手振りで熱量を伝えることも難しいので、熱量も伝わりにくい
  • そこで今回は「スピーカーのプレゼンを事前収録する」こととして、「全員で同じ時間に同じコンテンツを見る」とした。これでタイムキーピングや配信の問題が解決できるだけでなく、動画で一部編集もできるので、自分で動画を編集したり、字幕を入れたりして、表現力を向上させることができた。全部のコンテンツをAlexa(正確にはAmazon Polly)で読み上げさせてプレゼンした部長もいた(!)こうしたチャレンジが出来るのも、事前収録のよい点だと思われる

 

その他の工夫
  • キックオフの目的を明確にして、全員必ず参加してもらうということを徹底する。オープンな会社ほどよくある「キックオフはやる意味があるのかという議論」がおきないよう、参加の目的と意義を明確にしておく
  • タイムテーブルを作って事前に共有しておく
  • 事前にSlackのキックオフ専用チャンネルを用意して、参加者を招待しておく
  • 質問はSlackでリアルタイムに聞く。回答も(できるものは)その場で答える。回答に時間がかかりそうだと思った質問はスピーカーが「あとで答える」というリアクションを押すと、自動的にそのコメントがストックされ、後ほどQ&Aタイムで答えることができるようにした
  • 動画はBoxで共有して、後からも見られるようにする(後から入社する人でも見られるようにという配慮)
  • 発表後は、各スピーカーのプレゼンの内容をパワポ1枚に纏めたダイジェスト版を用意して、社内Wiki(Confluence)の「キックオフ資料」ページに貼り付けておくこととした。これによって、いつでもこのページを見ればダイジェスト版を見ることができ、内容の振り返りにかかる手間を最小限にした(動画の見直しだと時間がかかるため)
  • キックオフの司会は2名体制で。一人だけで話しているよりも「会社のイベントとして掛け合いをしながら進行する」ことで、より一体感が生まれた
  • キックオフの開始と終了時にはかっこよい動画を流したことで、より一体感・面白さが増した(エンドロールは全社員の名前が入るというサプライズ付き!)また休憩中もBGMに加え「あと何分で再開」というタイマーを映像で配信したため、休憩も取りやすかった
  • 開催時間も変更した。物理的に集まっていた時は午後〜夕方にかけておこない、そのまま立食パーティーをしていたが、今は立食パーティーがないことに加え、全体の時間も圧縮できたので、午前中から実施した。これによって、フレッシュな状態で効果的なインプットが実現できた

 

私たちも「完全なリモートワーク体制」はまだ2年目で、このフォーマットがベストかどうか断言はできません。ですが、既に2回ほど実施してみて「これは今後のフォーマットになり得る」という感触を得ています。

もし皆さまの会社でも面白いアイディアやノウハウなどがあれば、twitterで教えて頂ければ幸いです!