大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

2021年4月版 クラウド業界アップデート 「Appleがモノの位置を特定するAirTagを投入」

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こんにちは、大石です。

みなさま、緊急事態宣言下でのゴールデンウィークはいかがでしたでしょうか?報道では行楽地の混雑などが報じられておりましたが、距離を保ってみなさまで一緒に感染症の流行を抑えて参りましょう。

今月も忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月(2021年4月)のクラウド関連ニュースをさくっとキャッチアップできるようにまとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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info.serverworks.co.jp

2021年4月のクラウド関連トップニュース 〜Appleがモノの位置を特定するAirTagを投入〜

  • 4月はちょっと変わったニュースをトップに取り上げました。Appleが500円玉サイズで、位置を特定することができるAirTagを市場に投入したというニュースです
  • このタグ、持ち主のiPhoneと連携するだけでなく、持ち主以外のiPhoneとも連携して、持ち主に場所を教えてくれることが特徴です(持ち主以外の人がタグを取得しても、持ち主の場所などが特定されることはありません)。これは累計で20億台も出荷されているiPhoneだからこそ実現できるアプリケーションで、iPhoneの新たなキラーアプリケーションになる可能性を秘めています。
  • これまで、このような広範なネットワークをカバーするIoTデバイスのためには広域をカバーする通信機能が必要でしたが、AirTagではBluetoothUWBを利用するため、電池持ちも良い(公称では約1年)とされています。更にこのネットワークは解放されており、既に自転車やワイヤレスイヤホンのメーカーが参加を表明しています。今後は盗まれても場所を特定できる「AirTag対応自転車」や、置き忘れ防止機能付きの「AirTagカバン」なども登場しそうです(AirTag内蔵ゴルフボールなどが出てきたら、ロストボールも怖くありませんね)
  • 更に日本は世界と比べても突出してiPhoneの比率が高く(2020年の出荷台数ベースで50%超え)、かつ東京・大阪のような人口密集都市が多いため、特に有用性が発揮できる可能性が高く、みなさまのビジネスを考える上でのご参考になる可能性が高いと思われます。

注目AWSトピックス

  1. Amazon Lex が日本語に対応
    チャットボット向けの会話型AIを実現するLexがいよいよ日本語に対応し、東京リージョンでも利用できるようになりました!チャットによる会話はもちろん、Alexaの様な言語によるチャットもできるようになりますので、スマートスピーカーや電話による音声応答が新しい段階を迎えそうです。
  2. クラウド移行の計画立案段階を支援する新サービス
    ITシステムを本格的にクラウド環境へ移行し活用していく状況にある企業や組織向けに、ITXパッケージという名称で提供される様々なプログラムのパッケージです。もともとMAP(Migration Acceleration Program)という名称で大規模移行を支援するプログラムがあり、当社も複数のお客様に提供して参りましたが、これに日本独自のノウハウをバンドルして強化したという形になります。お客様にとっても、私たちのようなパートナーにとっても、大規模移行をスムーズに進めるためのベストプラクティスとして活用が期待されます。

その他クラウド関連ニュース

  1. Microsoft音声認識のNuanceを262億ドル(約2兆円)で買収すると正式発表(ただしDiscordの買収はキャンセル)
    Siriの元となった音声認識技術を作ったNuanceがMicrosoftに買収されました。車好きの方には「ハロー、ドラゴン」とか「ハロー、メルセデス」と呼びかけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?最近のNuanceは車載よりも医療向けに特化していましたので、Nuanceの買収もMicrosoft Cloud for Healthcareの強化に使われると報道されています。
    なお、このニュースに先立って音声ネットワークのDiscordを1兆円で買収との観測が流れていましたが、この取引は打ち切られた模様で、ソニーが100億円超を出資しIPOを目指すという流れのようです。Clubhouseしかり、世界中でソーシャルディスタンスが求められる中で音声ネットワークの重要性が今まで以上に高まっていると言えそうです。
  2. Trelloで個人情報漏洩相次ぐ パスワードやカード情報、就活生の評価まで
    Trelloを使って選考状況の管理をしていた会社で、意図せずボード全体が公開状態になっており、応募者の個人情報を含めた情報全体が(複数の企業で)閲覧可能になっていた、という報道がなされました。かくいう当社も新卒の選考管理をTrelloでやっておりますが、同じような企業は多いとみられ「ヒヤッ」とされた方は多いのではないでしょうか?
    Trelloはまだ設定が簡単ですから良い方ですが、AWSSalesforceなど高度なクラウドになれば、「多少詳しい」レベルの人では既に太刀打ちできないレベルです実際【米企業クラウド「難解で手に負えず」、ペイペイも楽天も神戸市も…設定ミスで情報流出か】というショッキングなタイトルの記事が出ている通り、クラウドを利用する上でのセキュリティ設定は今後大きな課題になってきそうです。
    もちろん、AWSをご利用の場合は当社にご相談ください!

先月のサーバーワークス関連ニュース

  1. オンライン学習プラットフォーム「Udemy」にてAWS初心者向けコースを提供開始
    Udemyという、4,000万人の受講者、15万の講座を誇るオンライン学習サービス向けに、AWS初心者コースを開設しました。上の記事の通り、AWSを本格的に利用しようと考える場合、抜け漏れなく知識を身につける必要がありますので、そうした方にも最適なコースになっているのではないかと思います。
  2. インサイトテクノロジーと協業し、金融機関に特化したデータベースのクラウド化支援・運用に関するサービスを提供開始
    データベースの証跡管理などに強みをもつインサイトテクノロジー社と協業し、金融機関向けにデータベースをクラウドマイグレーションしたり、クラウド上のデータベースでもオンプレミスと同等の証跡管理を実現するソリューションを提供します。当社では既に金融機関向けクラウド導入コンサルティングサービスを提供しておりますが、これを補完するものとなります。
  3. 国内スタートアップ企業に向けた支援プログラムの提供を開始
    国内でもスタートアップ市場が活況になりつつありますが、一方で社内のメンバーがどうしてもアプリ開発に寄ってしまい、インフラに詳しい人が居ない(採れない)という課題がありました。当社としてもこうした声に対応する形で、AWS設計のレビューと、AWS料金の5%割引をバンドルして「pieCe for Startup」という名称で提供するものです。

まとめ

  • AWSAppleなど、強力なプラットフォームは乗る+使いこなす
    AWSの強力なネットワークはいわずもがな、Appleのような「これまでビジネスとは少し距離のあった」プラットフォームにも乗る機会が生まれてきました。残念ながら国内の企業がこれからAppleと同等のプラットフォームを作ることは現実的ではありません。AirTagやLexなどを使うことで、プラットフォームに依存するデメリット以上のメリットがあるものと考えられます。
  • クラウドの利活用、セキュリティ設定などは専門家をうまく使い「健康的な内製化」を
    昨今多発しているクラウドのセキュリティ設定ミスは、自社で誤った設定を放置していたことに起因するケースが多いようです。これは「内製化信仰」の弊害ともいえます。
    たとえば、「自分の健康は自分で作るんだ!医者には頼らない!」という方は健康に対する認識を完全に間違っています。健康的な日常を作るのは自分でも、健康診断という名目でレビューを受けたり、時には治療を必要とすることもあります。「自分の体は自分が一番分かっている」と思い込むのではなく「沢山の症例を見ている医者の方が、病気についてよく理解している」と考えるのが合理的です。
    クラウドを利用するときも同様に、健康的に使うための習慣や基礎体力は自分で培いつつ、「かかりつけ医」よろしく困ったときに相談できるパートナーを伴走させることも「健康的な内製化」の為には必須と考えます。

ゴールデンウィークもあけて休みボケになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、こうしている間にも世界は着々と動いています。歩みを止めること無く最新の動向を捕まえて、難しい時代を一緒にサバイブしていきましょう!