大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

11回目の決算を迎え「非ドラマチック宣言」

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こんにちは、大石です。

本日9月30日は、当社の11回目の決算日です。

環境としては厳しい状況であるにも関わらず、10年連続で増収+黒字化を達成できたことは、ひとえにお客様のみなさまのご支援、社員とそのご家族のみなさまのサポートがあってのことと、深く感謝しております。今後ともご支援を賜りますよう、この場をお借りしてお願い申し上げます。

 

私は会社説明会やブログで、よく「持続的な成長」という事を言います。

これは完全に趣味の問題です。

「爆発的な成長!」
「売上前年比5倍!!」

といった派手なキャッチが好きな方もいらっしゃれば、地味だけど「30年連続で成長させ続けることを考える」という私のような経営者もいます。これは完全に経営者の選択です。

アレクサンダー大王もナポレオンも織田信長も、緒戦の勢いはすごかった。勢いがすごいほど、反動が必ずくる。歴史上、兵站を重視したローマや、機が熟すことまで待つことを厭わなかった徳川家康が覇者になったことには、重要な示唆が込められていると思っています。

例えば、私は栄養ドリンクなどがあまり好きではありません。

そうした外部の力に頼るクセが身についてしまうと、真の自分の力を測り損なうばかりか、自ら気力体力を回復させる能力が弱まり、体の本当の声や異変、非常にかすかな悲鳴が聞き取れなくなってしまう。大きな音をずっと聞いていれば、小さな音が耳に入らなくなるわけです。人間の体は全体でバランスが取れるように設計されているので、 何か特定の箇所だけ良くしよう、伸ばそうと思っても必ずバランスを損なってしまいます。

同じ理屈で、ハリウッド映画などがあまり好きではありません。

たった2~3時間で笑い、怒り、悲しみ、喜びといった感情をホルモン注射よろしく無理矢理喚起させ、日常では絶対に味わえない達成感や開放感を仮想的に植え付ける行為は、たまにやる分には大いに結構ですが、続けていると麻薬と同じでクセになってしまう。クセになると、日常の小さな出来事に反応する感度が鈍ってしまうことを危惧します。
人生にドラマは驚くほど少ない。本当にドラマチックと言う場面は一生に一度あるかないか。
でも逆にそのことが、身の回りで起こる小さな出来事に心から感謝したり、無事平穏を「退屈」ではなく「貴重」と思える感覚を研ぎ澄ますことに繋がっていると思うのです。ドラマが無いからこそ、非常に小さなシグナルをキャッチできる。

音楽もクラシック音楽を良く聞きます。私の好きなピアニストの一人であるグレン・グールドの言葉は、特に私の心に残っています。

芸術の目的は、アドレナリンの瞬間的な分泌にあるのではなく、驚きと落ち着きの状態をゆっくりと一生かけて構築してゆくことだ。

会社も同じ理屈で、アドレナリンで無理矢理気持ちをブーストしようとしても絶対に弊害が起こります。
たまにはドラマやアップダウンも必要ですが、それを人為的に永続させることはできないと考えています。

私たちは、まだまだ成長途中の若い会社です。決算日を迎え、これから先の10年も、今まで以上にバランスのとれた、継続的な成長が続けられるように自分たちを磨き続けたいと想いを新たにしました。