大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

全体最適が苦手な日本人

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こんにちは、大石です。

今日はスゴい雨と雪でしたね。
当社は天候によって出社が困難だったり、ムリな出社によって生産性が落ちると考えられる場合は、申請で在宅勤務もできるようになっていますので「今日は半分くらいが家で仕事するんだろうなー」と思っていたら、facebookで知り合いの方がこんな投稿をあげていらっしゃいました。

 hiroki

これを見て、昔アメリカ人の方に言われたことを思い出しました。

「日本人は非常に個人主義的だ。震災の時に特にそう思った。あれだけ駅前でタクシーを待っていても、誰も(同じ方向の人同士で)乗り合わせようとしない。自分が良ければいい、という考えの最たるものだ。よく日本は集団的、アメリカは個人的と言うが実際は逆だ。」

私も思わず「なるほど」とうなってしまいましたが、日本以外の方にはこう見えるようです。

言われてみれば、エスカレーターなんかも左側に行列して、右側はスッカスカ、ということがよくありますね。右側にも立てば理屈の上では行列が半分になるはずですが、居るか居ないか分からないけど急いでいる人のために全体の輸送効率が落ちる並び方を無意識にしてしまっています。

先のfacebookの投稿を見て、私たちには「思考のクセ」みたいなものがあって、全体の効率を下げていることが他にもあるのではないか?と考えてみました。

hikaku

もちろん「会社に出社する」という行為は非常に大きな意味のある行為、個人にとっての美徳だと私も思いますが、一方で「それが今日でなければいけないのか?」「それによって社会で失われているものはないのか」という問いについてはクエスチョンです。
どうしても私たち日本人は「個人の美徳」に目が行きがちで、実際そのような思考のクセというものがあると思うのですが、もっと全体としての効率や最適に目配りして意思決定しましょうと。その文脈で、システムも個別に最適化されたガチガチのシステムよりも、もっと柔軟でしなやかな「クラウドを組み合わせたシステム」にすることで、全体としての最適を目指しましょうという話だと思うのです。

こうした「美的感覚」の話に、ロジックで対抗することは困難です。実際、私も「エスカレーターで左側一列は非効率だから右側も使いましょう」と言われても「えっ?」となります。私たち自身、お客様にクラウドの説明をして個別最適から全体最適への変化を説明しても「えっ?」と言われることはままあります(例えば、今まではサーバー1台1台の可用性が重要だったが、クラウド時代ではインスタンス1台の可用性よりもシステム全体としての可用性の方が重要ですよ、という話とか)。
ですが、こうした思考の壁を乗り越え全体最適にたどり着くことが、今の私たちには必要な様に思われるのです。

 

これからオリンピックを迎え、日本人だけでは「左側一列」が当たり前だった世の中に「なんで?右も使った方が効率的じゃん」と考える外国人が(たぶん)大挙して押し寄せてきます。そんな時に、「日本のルールを守れ」と拒絶するのではなく、彼らが見ている全体最適の世界を見て、私たちも学ぶものがあるのではないかと今から期待しています。