大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

2010年を振り返って 〜閉じ込められたのは誰だ?〜

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こんにちは、大石です。

2010年もあと1日となりました。今年も社内外でいろいろなことがありましたが、特に印象に残った出来事をとりあげ、今年の締めくくりとさせていただきたいと思います。

▼社外編

私が今年もっとも印象に残った出来事は「チリ銅山事故」です。
ほとんどの人にとって、この事故は「みんなが無事に助け上げられた」美談として印象に残っていると思いますが、私には「穴に閉じ込められた人々が、人ごとと思えない」という風に映りました。

つまり、
「私たちも穴に閉じ込められ、自分たちではどうすることもできない状況にいるのではないか?
この姿は、まるで今の日本人そのものではないか?」
と感じられるのです。
内田樹先生は、今の日本を状況をさして「この閉塞的な状況は、誰かが邪悪な意図を持って計画したものではない」と言われています。そうであれば、責任者を捜しても何も得られない。

閉じ込められたときに、何をすべきか?
責任者をつるし上げ、中で主導権を争うのか?
あるいは、力を合わせて外に出ることを目指すのか?

私には自明のことのように思えますが、政治家しかり、SNSの矮小な覇権争いしかり、そのような考えにはなかなか至らない様です。
現代の人々が坂本龍馬坂の上の雲の人々に熱中するのは、一つの目標に向かって一致団結するパワーが私たちには秘められているという確信が、心のどこかにあるからではないかと思います。

チリの事故をただの美談で終わらせるのはもったいない。
私たちのおかれている状況と重ね合わせれば、自ずと
「次に何をすべきかが、わかる」
私にはそのように感じられ、感動的な結末と相まって非常に印象に残った出来事でした。

 

▼社内編
10年が経ち少しずつ人数も増えてきて、いろいろな場面で組織化の必要性を痛感する場面が増えてきました。
昨年から本格的に着手しているのですが、今年は2度も大がかりな組織変更を行いました。
一般的に「組織変更は頻繁に行うものではない」といわれますが、それを承知の上で1年に2回も行ったのは、
「このままではダメだ」と思っているときに、黙っていることの方が罪が重い
と考えているからです。

経営にもAgility(俊敏性)が必要で、このままでは何も良くならないとわかったときに、潔く過去の判断の過ちを正す勇気も必要だと考えています。

ドラッカーが「断絶の時代」で訴えていた警鐘に「人々は、未来の不確実性を低く見積もりすぎる」というものがあります。
私たちも、未来を予言することはできません。
ですから、未来は作っていくしかない。
それでも、「こうなって欲しい」という未来と、現実とがかけ離れていくことは往々にしてある。
そのときに、如何に素早く理想へ向かうための軌道修正をおこなうか、その敏捷性は絶対に持っていなければいけない。
過去の自分の判断・決断・投資といったサンクコストによって、ベストへの道が閉ざされることがあってはならないと思っています。
そのためにも、社内の負担は覚悟の上で、2回もの組織変更を行うという決断に至りました。

よく言われるように、変化のスピードは増しています。
社会のスピードが増している以上、自分たちもそれを上回るスピードで変化し続けなければ、変化に先んじることは永遠にできません。
2011年は、今まで以上にAgilityをあげ、変化を生み出していける組織にしていこうと考えています。


いろいろあったものの、まずは無事に1年過ごせたことに心から感謝しております。
お世話になりました皆様には、この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎えください。