大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

2021年6月版 クラウド業界アップデート 「10は最後のWindows」ではなかった!Windows11が発表

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こんにちは、大石です。

今月も忙しいビジネスパーソンの皆さまに向けて、先月(2021年6月)のクラウド関連ニュースをさくっとキャッチアップできるようにまとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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2021年6月のクラウド関連トップニュース 〜

  • Windows 10は最後のWindowsではなかった!Windows 11がリリースへ!「Windowsは10が最後のバージョン」という話を聞いた方も多かったと思いますが、どうも真実はこちらの記事に書かれていることのようで「Microsoftが否定しなかったためにそうした認識が拡がった」というのが本当のところのようです。

    新しいバージョンのWindowsが出てくると言うことで、企業の情報システムとしては以下のような検討が必要になりそうです。
    ①端末の買い換え:新しいWindowsは要求スペックがかなり上がっている様です(残念ながら今のPCがWindows 11に対応しているかどうかをチェックするアプリは公開が中止されてしまいました)。Androidアプリの対応など、より高いスペックが求められるため、場合によってはPCの買い換えなどの検討が必要です
    Androidアプリの利活用Windows 11の目玉はAndroidアプリ対応です。企業内でモバイル向けに作成されたアプリケーションを展開することもできるようですので(.apkファイルも展開可能と発表されています)、社内の業務アプリをAndroid向けに作成すれば、スマホでもデスクトップ(Windows 11)でも使えるということが実現できそうです。アプリケーション開発戦略にも見直しが求められます
    Microsoft Teamsの検討:企業でWindows 11にアップグレードする大きなメリットとして「WindowsとTeamsの統合」があります。タスクバーから直接Teamsにアクセスできるようになると説明されています。未だメールなどのコミュニケーションに頼っている企業は、これを機にTeamsの検討が求められそうです

注目AWSトピックス

  1. AWSがWickrを買収。ビデオ会議サービスを拡充へ
    AWSは2020年6月にSlackとの提携を発表していましたが、目立った効果のないままSlackがSalesforceに買収されてしまったため、メッセージングサービスの戦略を練り直す必要に迫られていたものと推察されます。拡大に成功しているとはいえないChime、セキュリティに不安を抱えるZoomに対抗して、セキュリティに提供のあるWickrを買収することで、ビジネス用途のメッセージングサービスを拡充し、MicrosoftGoogleに対抗する戦略と考えられます
  2. AWS Bug Bustがリリース
    ソフトウェアのバグの発見して修正するコンペティションを、自分たちで簡単に実施するサービスがリリースされました。元々「ソフトウェアのバグを発見した人に賞金を出す」という取り組みは私の知る限りNetscapeが最初に始めたものだと思いますが、こうした取り組みをより簡単に実行できるようになることが期待されます。

その他クラウド関連ニュース

  1. Fastly, Akamaiの障害
    6月8日にCDN(Content Delivery Network)大手であるFastly社のサービスに障害が発生し、これらを使っていたサービスも接続できないなどの影響が出ました(国内では日経新聞、メルカリ、TVer、AbemaTV等。米国ではThe New York Times, Reddit, Twitch, PayPal等)。米AmazonもFastlyを用いていた様ですが、Amazonは複数のCDNを用いる構成になっており影響を受けた時間が短かったようです。一方でFastlyに頼っていたサービスは長時間に渡って影響を受けてしまったようです。
    また、6月17日にはCDN大手のAkamaiでも障害が発生し、American Airlines, Delta航空など米国の大手サイトを中心に影響が発生したようです。
    いずれもソフトウェアのバグが原因と発表されており、クラウドサービスの影響が
  2. Appleの開発者向けイベントWWDCで、Zoom対抗機能が発表に
    MicrosoftがTeamsを伸ばす中、AppleiOS標準のFaceTimeを「iOS以外のユーザーでも参加可能」とすることでビジネス用途にも拡げる計画の様です。TeamsはOSとの統合も計画されていたり、PowerPointの資料を共有したりする体験が非常に良く出来ている一方、FaceTimeは画像/音声のクオリティが非常に高く、どのように使わけられるのか注目されます。

先月のサーバーワークス関連ニュース

  1. 導入実績が900社、10,000プロジェクトを突破
    お陰様で記念すべき10,000プロジェクト目を受注させていただきました。平均で1社のお客様から11プロジェクトの受注がある計算となり、多くのお客様が「クラウドの適用範囲を増やしている」ことがおわかりになると思います。
    特にテレワーク需要で「Amazon WorkSpaces」は169%、リモートアクセスVPNAWS Client VPN」は15,690%利用増加致しました。
  2. 大伸社様のSAP ERPのAWS移行事例を公開
    B2B広告に実績のある大阪のマーケティング会社であるテスト大伸社様が、基幹システムSAP ERPAWSへ移行されました。

まとめ

  • コンピューターの利用シーンが複雑化するにつれ「統合」が再度キーワードに
    AppleがCPU,OS,モバイル,アプリストアを統合して成功しているように、MicrosoftもOS,モバイルアプリ,クラウドサービス等を統合する方向に。「ロックインは悪」と決めつけるのでは無く、ロックインによる負の影響と統合によって得られるメリットを公平に判断すべき
  • クラウドを用いたシステムの障害耐性を設計するのは利用者自身
    可用性99%のクラウドサービスであっても、直列に5つ並べば99%^5 ≒ 95%まで可用性は低下。直列配置を避け分散配置するか、障害発生時に別な対応を取るなど、基本的な考え方はこれまでと同様。「クラウドは安定性が低い」のではなく、「適した使い方を学ぶ必要がある」と認識すべき