大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

初内定式

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こんにちは、大石です。

昨日、サーバーワークスとして初めて「内定式」を執り行うことができました。

特に日本は「学生と社会人の差が大きい社会」だそうです(欧米では、「社会人」に該当する言葉がないんだとか)。だからこそ、「通過の儀式」としての内定式というのは大きな意味を持つものと考えています。

内定式の時に、内定者3名に以下の2点を伝えました。今後、当社を志望される方の参考に、また当社がこういう考えを大切にしていることを知って頂くためにも、改めてここで記しておきたいと思います。

(1)感謝の気持ちを忘れずに

今年の就職戦線は熾烈を極めました。
その中を勝ち上がってきたからこそ、不必要な驕りを戒め、「今の自分があるのは、自分だけの力ではない」ことを念押ししました。

松下幸之助翁は、面接の際に必ず「君の人生はついていましたか?」と聞いていたといいます。
そして「ついていた」と答えた人しか採用しなかったそうです。
「ついていた」という人は、今の自分が在るのは、自分だけの力ではなく、運を含めた周りの人々のサポートによっている、という謙虚な気持ちを必ず持っているから、というのがその理由だそうです。そして謙虚な気持ちを持っている人は、人の話に耳を傾けることができ、入社後も成長を期待できるものだそうです。
このエピソードは、感謝と謙虚という精神が同根であるという、松下幸之助翁ならではの慧眼によるものと私も感銘を受けました。

(2)正解が無いことを知る

個人的にも、学生と社会人の「考え方」の違いで最も大きいのは、「正解の有無」だと思います。
学生までは、極端に答えのある問題ばかりを扱います。テストの問題はマルバツだし、悪いことをすれば先生にしかられるといった具合に、とにかく白黒がはっきりするものばかりです。
ところが、社会に出れば「正解かそうでないかなんて、わかる問題の方がきわめて少ない」という現実に急に放り出されます。

技術の話で例えると「ユニットテスト
ユニットテストの効用そのものに異を唱えるプログラマーはいないと思いますが、じゃあ「全部のコードに完全なユニットテストを書けば良い」なんていう単純な問題だったら、誰も悩まないしそこらじゅうの会社で100%ユニットテストが書かれるはずです。ですが、現実はそうではない。納期やコストといったテストに係るオーバーヘッド、仕様変更時のインパクトの大きさ、そもそもテストのカバレッジ率とシステムの品質における正の相関が担保されない、など現実的には複雑な要素があるから、みんな悩んでいる。
そうした現実の中でも、自分たちなりの仮説を立てて、前に進んで行かなくてはいけない。
このような複雑な現実の問題に対して「仮説を立てる」「仮説による結果の両面を考える」という思考は、意識しないと難しいと思います。

私も社会人になってから苦労した分、内定者にも是非今の内こうした思考の訓練をしておき、難しい問題に対応する力を磨いておいてほしいという話をしました。

これからの6ヶ月は、内定者だけでなく、私たちにとっても最後の準備期間です。
社会人、ビジネスマン、プロフェッショナルとしての基礎をもう一度見直し、良き手本となるような準備をしましょう、と社内でも改めて伝えた次第です。