大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

2020年12月版 クラウド業界アップデート 「AWS re:Inventで新サービスが続々発表!!」

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みなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!

年はまたいでしまいましたが、忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月(2020年12月)のクラウド関連ニュースをさくっと10分でキャッチアップできるように、まとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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2020年12月のクラウド関連トピック

  • Google大規模障害
    12月14日にGoogleの各種サービス(GCP, Google Workspace, YouTube等)で大規模な障害が発生し、約45分に渡り多数のサービスが利用できなくなりました。既に原因も対策も公表されていますが、2020年は想定外の事象でクラウドサービスへの依存が高くなった反面、トラブルの大きさが際立つ年になってしまいました。なお、AWSはこうした事態への回答も用意してきましたので、下の「注目AWSトピックス」もご覧下さい。
  • facebook独占禁止法で提訴
    2020年10月のGoogleに続き、facebook独占禁止法で提訴されました。特にInstagram, WhatsAppの買収とその後のオペレーションに問題があったと報道されています。CiscoOracleに代表されるように「潜在的な競合を買収することで競争優位を持続する」というスタイルは一般的だと認識されていましたので、個人的にも「その容疑で訴えられる」というのは意外でもありました。
  • Zoomの会議内容がZoom社員によって監視されていた!
    Zoomの社員がWeb会議を監視し、天安門事件に関する会議を強制的に遮断したり、個人情報を中国政府に渡していたという容疑でFBIに指名手配されました。Zoomについては「暗号化している」はずがされていなかったり、鍵が中国を経由したりするなど不穏な動きが報じられていましたが、米中の衝突が決定的になる中でこのような事件が明るみに出ることで、一層の信用低下は避けられそうにありません。今後も動きがあればお伝えします。

注目AWSトピックス

  1. re:Invent 2020がオンラインで開催
    先月はなんと言ってもこれでしょう!AWSの年次カンファレンスre:Inventがオンラインで開催されました。昨年は日本人だけで1,800人もの方がラスベガスに一堂に会してクラウドについて学ぶという熱気に溢れたイベントだっただけに、オンラインでの開催をさみしく思っていらっしゃる方も多いと思いますが、これはこれで効率的に情報収集ができて便利な側面もありました。re:Inventのアップデートは当社のウェビナーでもご紹介しています。
  2. AWSの障害がテストできるように!
    re:Inventからエンタープライズ用途での皆さまにお知らせしておきたいアップデートを1つ。2020年はクラウドのトラブルが目立つ年になってしまいましたが、東証のトラブルでも分かる通り「絶対に止まらない、を目指すのでは無く、何か障害が起きても対処できる」ことがクラウドに限らずシステムのデザインには有効です。これまでAWS上でシステムを構築する際に、残念ながらAWSの障害をテストすることは難しかったのですが、今回発表されたFIS(Fault Injection Simulator)を用いれば障害をシミュレーションし、事前に「AWSの特定サービスが止まった場合のシステムの挙動」を設計することが可能になります。
    正式サービスは未だ先ですが、リリースされればAWSをお使いの方は事前のテストに組み込むことは必須になるものと思われますので、ぜひお見知りおき下さい!
  3. AWS再生可能エネルギー原発6基分使っていることを明らかに
    Amazonは「2040年までにカーボンニュートラルを実現する」という宣言をしていますが、実際にAWSでどのような取り組みがなされているのかが示されました。特に再生可能エネルギーの利用が6ギガワットを超えており、この利用量は「単独の企業として世界最大」とのこと。また、昨年発表されたAWS謹製のCPU "Graviton" の利用も、電源効率の改善につながっているとのこと(逆に言えば、IntelのCPUを使うとそれだけ熱で電力が無駄になってしまう、ということでもあります)

2020年12月のサーバーワークス関連ニュース

  1. re:inventのふりかえりウェビナーを実施
    私とサーバーワークスのコメンテーター松本、毎日AWSのアップデート情報をお届けしているエンジニアの加藤の3人で、re:Inventの内容のまとめをウェビナーでお届けしました。ご好評につき再演も予定していますので、ぜひこちらからウェビナーのご予定をチェックしてみて下さい!
  2. 2020年 日本テクノロジーFAST50にランクイン
    デロイト トーマツ グループが発表したテクノロジー・メディア・テレコミュニケーション業界の売上高に基づく成長率のランキング「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 2020年 日本テクノジーFast 50」において、当社が23位を受賞しました!
  3. 佐賀県産業スマート化センターのサポーティングカンパニーに参画

    佐賀県産業スマート化センターでは、事業をスマート化したい県内企業に対し、AIやIoTといった先進技術によるソリューションやこれらの導入を支援できる企業を紹介しておりますが、当社もこれに加わりました。

    サーバーワークスでは、佐賀県をはじめとした九州でのAWS導入、活用支援拡大を目指し、佐賀県内企業様のビジネスに貢献できるようご支援をしてまいります!

まとめ

  • クラウドサービスが政治的な影響を顕著に受けるように
    クラウドの影響力が増すにつれ、facebook独禁法訴訟に見られるように政治の影響を受けるレベルになってきました。既にHAUWEIの排除などははじまっていますが、今後はZoomの様な「会社のエンティティとしては欧米だが、実際の開発など一分のオペレーションは中国で行われているサービス」がどのようになっていくのか注視が必要です(私個人としては、ネガティブな方向に進むのではないかと悲観的に見ています)
  • IT業界もCO2削減に貢献すべき
    re:InventではAWSのCO2削減に関する取り組みが多数語られました。その中で「(451 researchによると)ワークロードをクラウドに移行することで、CO2排出量を88%削減できる」という様な具体的な言及もなされました。先月はAppleシリコン(M1)の驚異的な効率について言及しましたが、デスクトップもサーバーもIntel製からARM製に切り替えることによって、IT部門としてもCO2削減に貢献できる可能性が見えてきました。CO2の排出量削減が企業の社会的責任と認識されつつある今、IT部門としても積極的な行動が求められます


都下では緊急事態宣言が再発され、しばらくStay homeが続きそうですが、クラウドを活用することで、こうした状況でもビジネスを継続し成長できる環境を作ることはできると思います。この情報がそのための一助になれば幸いです。

今年もどうぞよろしくお願いいたします!