大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

「Slackの使い方をわかっていない」と鼻で笑う信者

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先週、twitterでこんなツイートが回ってきました(下のリンクはまとめです)。

https://togetter.com/li/1452945

私達は2014年4月から(※)社内メールを停止して社内コミュニケーションはすべてSlackを使っていますが、古参ユーザーとして全力で解説するとこんな感じになるかと思います。(クリックで拡大します)

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※ちなみにSlackをいつから使い始めたかを知るためには #random とか #general チャンネルでi ボタンを押すとチャンネル作成日=使い始めた日がわかります

このポストをみたほとんどの反応が「草ww」とか「いつの時代やねん」というような、ある種バカにしたような反応でした(無理もありませんが・・)

こういう反応の本質は 「自分はわかっているが分かっていない人のことを下に見た反応」 ではないかな?と思うのですが、これって実は自分のクビを自分で締めるような行為だと私は思うのです。 Slackを得意満面の笑みで使っている方が、一番困る状況ってなんでしょうか? おそらく 「Slackを使おうというユーザーがいなくなること」≒「Slackがなくなること」 なんじゃないかと思います。

でも、みなさんが何か新しいサービスを使おうとしたとき、古参のユーザーから「プッ」とか笑われたり「わかってねーなーあいつ」とか言われたら、どう思うでしょうか?多分ほとんどの方が「よし頑張って覚えよう」ではなく「気持ち悪い連中がいるサービスには近寄らないようにしよう」と感じるのではないかと思うのです。

ユーザーがそういうクラスターだと、どんどんサービスのイメージは悪くなっていき「ほにゃららチームスとかの方がユーザーもみんなスーツ着てるしマトモなんじゃないか?」と考える人が増えて、Slackのユーザーは減り、結局Slackを使っている人自身に呪いが降り掛かってくると思うのです。 鼻で笑うことも、立派な「排他的行為」です。 自分たちの独特なオペレーションを他の人に教えるのではなく「あいつは何もしらないヤツだ」と排除する人々の集まりって、はたから見ると新興宗教と一緒で「気持ち悪い」ですよね。 「Slackを使っている連中は気持ち悪い集団だ」 と思われることほど、Slackのユーザーとしてダメージの大きいことはありません。

SlackもAWSも「ユーザーが多くなればなるほど、既存のユーザーが利益を受ける」正のネットワーク効果が非常に高いサービスです。こういう性質を考えれば、あのポストを見たときの正しい反応は「わからない人には論理的、合理的に理想的な使い方を説明する」ということだと思うのです。

私達は、AWSを2007年から、Boxは2011年から、Slackは2014年から使ってきて、それらを世の中に広めることに専心してきました。 私達が今ここにいるのは、「自分たちだけがこうした新しいサービスのことを知っている」という情報の非対称性があったとしても、それを鼻にかけるのではなく、ちゃんと丁寧に説明し、メリットやデメリットを合理的に伝えてきたからであり、「クラウド唯一神を奉じる神秘集団であったこと」が理由ではありません。

サーバーワークスのメンバーには「決して新しいサービスの使い方を間違っている人がいても、鼻で笑ったり馬鹿にしたりするのではなく、きちんと説明してあげてほしい。そういう行動こそが、クラウドを世界に拡げ、私達のビジョンを達成するための道だ」ということをお伝えしました。

ぜひこのポストをご覧になったみなさんにも、「自分たち自身が気持ち悪いクラスター」に陥らないような行動へのご協力をお願いできれば幸いです。