大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

逆バリ新卒採用

記事タイトルとURLをコピーする

こんにちは、大石です。

当社では「雇用の創出」を経営目標の一つに掲げており、新卒採用についても例年通り全力で取り組んでいます。 特に今年は、地方の優秀な学生を積極的に(こちらから)採りに行く方針で、既に採用イベントのために福島県会津大学へ行ったほか、2月中に札幌、函館、奈良、博多へ行き、現地での面接・試験を積極的に進めることにしています。 そうした活動の一環で、Ustreamを使って学生に会社案内をするというイベントがあったのですが、その中で評判の良かったスライドがありましたのでご紹介したいと思います。

1. ポテンシャル>今の能力

私たちは、新卒採用に際して「ポテンシャル」を非常に重視しています。 今勉強ができるか、今技術があるか、今実績があるか、より、これから成長できるか、これから能力を発揮できるか、の方を重視しているということです。もちろん、技術があって、生徒会や部活動、ボランティアなどの積極的な活動実績があればそれに超したことはありません。ですが、そのような「誰の目にもとまる人を採用する」のは、ハッキリ言って誰にでもできることです。よく「内定が一部の人に集中する」という話を聞きますが、これは「採用側が、今見えるものしか見ておらず、ステレオタイプな採用になっている」ことの裏返し、つまり採用側の能力の低下も一因だと思うのです。 私たちは、採用の神髄を「採用した人と一緒に成長する」ことだと考えます。完成された人格だけを採用するのであれば、わざわざ新卒採用をする意味もありません。一緒に成長するためには、今見えていないポテンシャルを見抜く力量が、どうしても必要です。そしてそれは、採用する側の面接官の能力に依ると考えます。 私たちは、面接を「面接官の重要な能力伸長の機会」と考えています。ポテンシャルを見抜き、共に将来を創る人財に「この会社で働きたい」と思って貰う。そのためには、面接官に相応の能力が必要です。 「ポテンシャルを大切にしている」という不等号は、そうした「自分たちへの戒めも含まれている」ことも意味しています。

2. 学ぶ力>今のコミュニケーション能力

殆どの企業では、採用時に「コミュニケーション能力」を求めているようです(http://diamond.jp/articles/-/14267)。 もちろんコミュニケーション能力は必要ですが、それよりも私たちは「学ぶ力」を重視しています。 どれだけコミュニケーションに長けていても、それが経験、知識といった「学び」に立脚していなければ、単なる「仲良しサークルの宴会担当」に終わってしまうと危惧します。 それよりも、コミュニケーション自体が学びによって後天的に学習できるものだと考えます。特に、ビジネスにおける一般的なコミュニケーションは一定程度形式的なもので、プロトコルとさえ呼べるものです。実際、入社時には残念な発表しかできない新入社員でも、当社で2年もプレゼンテーションのトレーニングをすると、全く見違えるほど上手になる光景を目の当たりにしています。ドラッカーが「リーダーシップは後天的に学ぶことができる」と言ったのも同じ道理だと考えます。 繰り返しになりますが、「コミュニケーション能力が無くていい」と言っているわけではありません。もちろん、あった方が良いに決まっています。ですが、私たちは「現時点でのコミュニケーション能力は確定的なものではなく、伸長させることができるものだ」と考えているという意味です。 そしてコミュニケーション能力を含めた全ての後天的な資質は「学ぶ力があれば伸長可能である」と考えている訳です。

3. コンピューターへの愛>会社への愛

よく、新卒採用の面接に「御社が第一志望です!」とか「御社の**というサービスが好きで、どうしても入りたいです!」というアピールをされる方がいらっしゃいます。 会社を好きになって下さることはとても嬉しいのですが、私は逆に、「就活のような情報が断片的にしか得られない状況で、熱狂的ラブコールを送る態度の方に問題がある」と考えてしまいます。 私たちは完璧な組織ではありません。無用な期待という幻想を抱いていれば、入社後に「思っていたことと違う」という現実が、期待を絶望に変えてしまうと思うのです。そのギャップをなくすにも、不必要な期待を煽る真似はしなくてよい。入る前から身勝手な希望を抱き、勝手に失望するというのは、「期待の自爆テロ」の様なもので、誰の利益にもならないと思うのです。 もっと言うと、「会社への愛着を持って貰えるか否か」のは会社の責任だと考えています。 魅力的な仕事、尊敬しうる上司、理想的な環境、認め合う文化、そういった会社への愛着に繋がる要素は、全て会社が組織的、継続的に実現できるかどうかにかかっています。つまり、愛すべき会社かどうかは、入った後にしか分からないと思うのです。 「オレのことを愛せ。愛さないなら結婚しない」 という人と結婚したいという人はいるでしょうか? ドMの方ならともかく、通常の感性であればそういう人との結婚は避けると思います。ところが、殆どの面接官が意識するしないに関わらず、就活生にこのような態度で臨んでいると思います。 私たちは、面接官がこのような態度を取ることが無いよう戒めていますし、愛される存在で居たい。そのためにも、愛情を強要するのではなく、仕事を好きになれそうな人かどうかで判断する。そのような価値観で面接に挑んでいます。


いかがでしたでしょうか?

私の感覚では、ほとんどの会社で、3つの不等号は逆を向いていると思います。 ですが、私たちは違う。 採用という活動が、一時的なものでなく、継続的な関係構築の一歩だと思っているからこそ、この不等号が上で示したとおりになるのです。

もし当社に興味をもたれた就活生の方は、ぜひこちらからエントリーしてみて下さい。 クラウドという、新しくてエキサイティングな分野で、一緒にチャレンジしましょう!