大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

クラウドジャーニー(AWS Summit 2016を終えて )

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こんにちは、大石です。

今年もAWS Summitが開催されました。当社も4年連続ゴールドスポンサーとして出展しまして、国内クラウド業界で最大規模となったお祭りに出展者側として参加いたしました。
既に沢山のレポートがあがっていますので詳細はそちらに譲るとして、私が印象に残ったことを1つだけ挙げるとするなら、AWSJ長崎社長のキーノートで提示されていた「クラウドジャーニー」というキーワードです。

「全ての組織はユニークだが、クラウド導入における共通のパターンはある」

 

そのパターンとして
1. プロジェクト単位での導入
2. 本格的に導入する前の基盤整備
3. 移行
4. AWSへの最適化
の4つの段階があることが示されました。

 

cloud-journey.png

 

これは私たちの実感とも完全に一致しています。特に最近は1-2の段階から「実際に数十〜数百のサーバーやシステムを、どうやってAWSに移行するのか?」という課題が増えてきており、クラウドジャーニーもいよいよ「移行」がメイントピックになりつつある、と感じています。

中間解としての “Lift-and-Shift”

こうした状況を踏まえて、当社からは「Lift-and-Shiftという移行アプローチ」についてご説明させて頂きました。どうしてもAWS移行というと、Redshift, LambdaやDynamoDBといった「イケてるマネージドサービスを使うのが善で、それ以外は悪」のような風潮がありますが、実際に大きな規模の会社や巨大なシステムで一挙にクラウドネイティブ化をすすめようとしても、組織の問題やアプリケーション書き換えの問題などで頓挫してしまうことも考えられます。
そのため、「まずはas-isでAWSに移行して、それから順次マネージドサービスに切り替えていく」というアプローチが採られるケースが増えている、というお話をさせて頂きました。

実際、私たちが過去のAWS Summitで発表させて頂いた丸紅様、横河電機様などの大規模な事例も、このように「まずLiftして、それからクラウドらしくShiftしていく」というアプローチを採られています。

サーバーワークスからの発表

そして、当社からはこうした状況も踏まえて以下の発表を行いました。

1. Cloud Automatorに「構成レビュー自動化」を追加
これまでCloud Automatorは「ジョブ自動化」に特化していましたが、さらに「構成レビュー自動化」の機能を追加致しました。

 

 

お使いのAWS環境が、予め決められたポリシーに従って運用されているかどうか、Cloud Automatorが自動的にチェックする、という機能です。

 

2. 新サービスpieCeの発表
これまで「課金代行サービス」と称して、AWSの利用料を円建て・請求書払いを受け付けるサービスは提供して参りましたが、これを拡充し、「AWS構築ガイドライン+Cloud Automatorの全機能+東京海上日動火災保険が提供するAWS保険」をセットにして、今までと同じプライスで提供するAWSの請求代行サービスを提供致します。

 

3. 社内ツール Yambda のお披露目
最後に、これまで外部にお伝えすることが殆ど無かった社内プロジェクト “Yambda” についてもご説明させて頂きました。当社ではこうしたツールを使ってCloud Formationのテンプレート、ドキュメント、テストコードなどの生成を自動化しているから、素早く、そして正確なデリバリーができるということをお伝えさせて頂きました。

 

yambda.png

 

実際、社内では既に90%近いプロジェクトでこのツールによる構築の自動化が実現できています。

 

そして(具体名は出しませんでしたが)、移行ツールの拡充によって「ダウンタイムの極めて短いAWS移行サービスを今夏に提供する」ことも発表させて頂きました。当社は先日「移行コンピテンシー」の認定も取得しましたが、サードパーティーとの連携も強化し、移行サービスもさらに拡充して参ります。

来年は・・・?

来年はIoTの実例がかなり揃ってくると思います。
また、IoTやAIといった新しいパラダイムを取り込むには「クラウドでなければ実現できない」という(既にクラウドに取り組んでいる人からしてみれば至極当たり前のことが)ようやく事実として広く認められる様になっていると考えられます。
私たちとしても、以前からお伝えしている「コードを書かなくてもここまでできる!」というお客様の実例を多数用意して、何年も前からコンセプトとして掲げてきた「作らないSI」、つまり「コードレスアーキテクチャ」が現実解であることをご覧に入れたいと今から意気込んでいます。

 

 

ところで・・・
今回のAWS Summitの1-2日目は風邪を引いてしまいまして、ダウンしてしまっておりました。わざわざブースにお越し下さった方がたくさんいらっしゃったと聞いております。大変失礼致しました。来年はばっちり体調を整えて、3日間フル参戦したいと思います!