大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

2021年4月版 クラウド業界アップデート 「Appleがモノの位置を特定するAirTagを投入」

こんにちは、大石です。

みなさま、緊急事態宣言下でのゴールデンウィークはいかがでしたでしょうか?報道では行楽地の混雑などが報じられておりましたが、距離を保ってみなさまで一緒に感染症の流行を抑えて参りましょう。

今月も忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月(2021年4月)のクラウド関連ニュースをさくっとキャッチアップできるようにまとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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2021年4月のクラウド関連トップニュース 〜Appleがモノの位置を特定するAirTagを投入〜

  • 4月はちょっと変わったニュースをトップに取り上げました。Appleが500円玉サイズで、位置を特定することができるAirTagを市場に投入したというニュースです
  • このタグ、持ち主のiPhoneと連携するだけでなく、持ち主以外のiPhoneとも連携して、持ち主に場所を教えてくれることが特徴です(持ち主以外の人がタグを取得しても、持ち主の場所などが特定されることはありません)。これは累計で20億台も出荷されているiPhoneだからこそ実現できるアプリケーションで、iPhoneの新たなキラーアプリケーションになる可能性を秘めています。
  • これまで、このような広範なネットワークをカバーするIoTデバイスのためには広域をカバーする通信機能が必要でしたが、AirTagではBluetoothUWBを利用するため、電池持ちも良い(公称では約1年)とされています。更にこのネットワークは解放されており、既に自転車やワイヤレスイヤホンのメーカーが参加を表明しています。今後は盗まれても場所を特定できる「AirTag対応自転車」や、置き忘れ防止機能付きの「AirTagカバン」なども登場しそうです(AirTag内蔵ゴルフボールなどが出てきたら、ロストボールも怖くありませんね)
  • 更に日本は世界と比べても突出してiPhoneの比率が高く(2020年の出荷台数ベースで50%超え)、かつ東京・大阪のような人口密集都市が多いため、特に有用性が発揮できる可能性が高く、みなさまのビジネスを考える上でのご参考になる可能性が高いと思われます。

注目AWSトピックス

  1. Amazon Lex が日本語に対応
    チャットボット向けの会話型AIを実現するLexがいよいよ日本語に対応し、東京リージョンでも利用できるようになりました!チャットによる会話はもちろん、Alexaの様な言語によるチャットもできるようになりますので、スマートスピーカーや電話による音声応答が新しい段階を迎えそうです。
  2. クラウド移行の計画立案段階を支援する新サービス
    ITシステムを本格的にクラウド環境へ移行し活用していく状況にある企業や組織向けに、ITXパッケージという名称で提供される様々なプログラムのパッケージです。もともとMAP(Migration Acceleration Program)という名称で大規模移行を支援するプログラムがあり、当社も複数のお客様に提供して参りましたが、これに日本独自のノウハウをバンドルして強化したという形になります。お客様にとっても、私たちのようなパートナーにとっても、大規模移行をスムーズに進めるためのベストプラクティスとして活用が期待されます。

その他クラウド関連ニュース

  1. Microsoft音声認識のNuanceを262億ドル(約2兆円)で買収すると正式発表(ただしDiscordの買収はキャンセル)
    Siriの元となった音声認識技術を作ったNuanceがMicrosoftに買収されました。車好きの方には「ハロー、ドラゴン」とか「ハロー、メルセデス」と呼びかけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?最近のNuanceは車載よりも医療向けに特化していましたので、Nuanceの買収もMicrosoft Cloud for Healthcareの強化に使われると報道されています。
    なお、このニュースに先立って音声ネットワークのDiscordを1兆円で買収との観測が流れていましたが、この取引は打ち切られた模様で、ソニーが100億円超を出資しIPOを目指すという流れのようです。Clubhouseしかり、世界中でソーシャルディスタンスが求められる中で音声ネットワークの重要性が今まで以上に高まっていると言えそうです。
  2. Trelloで個人情報漏洩相次ぐ パスワードやカード情報、就活生の評価まで
    Trelloを使って選考状況の管理をしていた会社で、意図せずボード全体が公開状態になっており、応募者の個人情報を含めた情報全体が(複数の企業で)閲覧可能になっていた、という報道がなされました。かくいう当社も新卒の選考管理をTrelloでやっておりますが、同じような企業は多いとみられ「ヒヤッ」とされた方は多いのではないでしょうか?
    Trelloはまだ設定が簡単ですから良い方ですが、AWSSalesforceなど高度なクラウドになれば、「多少詳しい」レベルの人では既に太刀打ちできないレベルです実際【米企業クラウド「難解で手に負えず」、ペイペイも楽天も神戸市も…設定ミスで情報流出か】というショッキングなタイトルの記事が出ている通り、クラウドを利用する上でのセキュリティ設定は今後大きな課題になってきそうです。
    もちろん、AWSをご利用の場合は当社にご相談ください!

先月のサーバーワークス関連ニュース

  1. オンライン学習プラットフォーム「Udemy」にてAWS初心者向けコースを提供開始
    Udemyという、4,000万人の受講者、15万の講座を誇るオンライン学習サービス向けに、AWS初心者コースを開設しました。上の記事の通り、AWSを本格的に利用しようと考える場合、抜け漏れなく知識を身につける必要がありますので、そうした方にも最適なコースになっているのではないかと思います。
  2. インサイトテクノロジーと協業し、金融機関に特化したデータベースのクラウド化支援・運用に関するサービスを提供開始
    データベースの証跡管理などに強みをもつインサイトテクノロジー社と協業し、金融機関向けにデータベースをクラウドマイグレーションしたり、クラウド上のデータベースでもオンプレミスと同等の証跡管理を実現するソリューションを提供します。当社では既に金融機関向けクラウド導入コンサルティングサービスを提供しておりますが、これを補完するものとなります。
  3. 国内スタートアップ企業に向けた支援プログラムの提供を開始
    国内でもスタートアップ市場が活況になりつつありますが、一方で社内のメンバーがどうしてもアプリ開発に寄ってしまい、インフラに詳しい人が居ない(採れない)という課題がありました。当社としてもこうした声に対応する形で、AWS設計のレビューと、AWS料金の5%割引をバンドルして「pieCe for Startup」という名称で提供するものです。

まとめ

  • AWSAppleなど、強力なプラットフォームは乗る+使いこなす
    AWSの強力なネットワークはいわずもがな、Appleのような「これまでビジネスとは少し距離のあった」プラットフォームにも乗る機会が生まれてきました。残念ながら国内の企業がこれからAppleと同等のプラットフォームを作ることは現実的ではありません。AirTagやLexなどを使うことで、プラットフォームに依存するデメリット以上のメリットがあるものと考えられます。
  • クラウドの利活用、セキュリティ設定などは専門家をうまく使い「健康的な内製化」を
    昨今多発しているクラウドのセキュリティ設定ミスは、自社で誤った設定を放置していたことに起因するケースが多いようです。これは「内製化信仰」の弊害ともいえます。
    たとえば、「自分の健康は自分で作るんだ!医者には頼らない!」という方は健康に対する認識を完全に間違っています。健康的な日常を作るのは自分でも、健康診断という名目でレビューを受けたり、時には治療を必要とすることもあります。「自分の体は自分が一番分かっている」と思い込むのではなく「沢山の症例を見ている医者の方が、病気についてよく理解している」と考えるのが合理的です。
    クラウドを利用するときも同様に、健康的に使うための習慣や基礎体力は自分で培いつつ、「かかりつけ医」よろしく困ったときに相談できるパートナーを伴走させることも「健康的な内製化」の為には必須と考えます。

ゴールデンウィークもあけて休みボケになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、こうしている間にも世界は着々と動いています。歩みを止めること無く最新の動向を捕まえて、難しい時代を一緒にサバイブしていきましょう!

2021年3月版 クラウド業界アップデート「LINEの情報が中国からアクセス可能な状態に」

こんにちは、大石です。

今月も忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月(2021年3月)のクラウド関連ニュースをさくっとキャッチアップできるようにまとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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2021年3月のクラウド関連トップニュース 〜LINEの情報が中国からアクセス可能に

  • 先月最もインパクトのあったニュースにはこちらを取り上げました。残念ながらLINEの個人情報が中国の事業者からアクセス可能な状態になっており、実際に30回以上のアクセスがあっただけでなく、ユーザーのコンテンツも明示のないまま韓国のサーバーに保管されていたことなどが問題視されています。実際に政府でも機微な情報の取り扱いは一時中止するなど波紋が拡がっています。
  • 中国政府のインテリジェンスによる脅威が現実のものとして広く認識されるようになったのはこの2−3年の話ですから、おそらくそれよりも前から進めていたこの取り組みが問題視されるのは、LINEさんにとって「気の毒」と言えなくもありませんが、一方でほぼ日本国内のインフラにまで育った状況にあって、中国との関係性を考慮したオペレーションにしていなかったことについては、無理解の誹りを受けても致し方ないでしょう。
  • 実際にLINEの情報が中国政府に渡ったかどうかは今後の調査・報告を待ちたいと思いますが、少なくとも私たちは「中国が国益の為に、あらゆる手段を講じてこうした情報収集に向けたチャレンジをしている」ことを理解し、リスクとリターンを十分に勘案した上で、製品選定、オペレーションや協業体制の構築を検討する必要があると考えます。

注目AWSトピックス

  1. AWSのトップに現Tableau CEOのAdam Selipsky氏が指名
    AWSの現CEOであるAndy Jassy氏がAmazon.comのトップになることから後任人事が注目されていましたが、なんと元AWSで現TableauのCEOであるAdam SelipskyさんがAWSに復帰しCEOを務めることが発表されました!古くからAWSに携わっている方であれば、日本のパートナーミーティングなどにも出席されていたので「懐かしい」という感覚を抱くかたもいらっしゃるのではないでしょうか?AWSのこともクラウド業界のことも十分に理解のあるAdamさんの復帰を、まずは歓迎したいと思います!
  2. 大阪リージョンが正式オープン
    ついに大阪が正式なリージョンとして立ち上がりました!これまでも制約のある使い方をすることはできましたが、今後は東京リージョンと同様3つのAZ(アベイラビリティゾーン)を有する通常のリージョンとして利用可能になります。
    東京・大阪間は400kmほど離れていますので、金融機関の方など内規で「災害対策拠点は250km以上離れていること」が上限になっていた組織にも対応できるようになります。金融機関・公的機関などでの活用が進むことが期待されます。
  3. FISが正式サービスイン
    過去何回か、私が興奮気味にお伝えしてきたAWSの「障害をシミュレーションできるサービス」であるFIS(Fault Injection Simulator)がいよいよサービスインしました!
    まだ対応しているサービスがEC2やRDSなど限定的なため、実用までにはもう少し時間がかかりそうですが、多くの方が悩まれているマネージドサービスの障害試験ができるようになれば、利用の幅は大きく拡がりそうです(LambdaとSQSの対応を心待ちにしています!!)

その他クラウド関連ニュース

  1. マイクロソフト、無料RPA「Power Automate Desktop」をWindows 10ユーザーに提供
    AWS以外のクラウド関連でもっとも影響があったニュースはこちらではないでしょうか?まさかのMicrosoftが無料でRPAを出してきたということで「プラットフォーマーのエコシステム潰しがここまで来たか」という感想をお持ちになった方も多くいらっしゃったのではないかと思います。このような無償バンドル戦略はNetscapeInternet Explorerの対決を彷彿とさせるものであり、B2B市場でこの戦略がどこまで許容されるのかは予断を許しませんが、一方でRPAの裾野が広がるという意味ではユーザーにとって歓迎すべき一歩とも思われます。
  2. ISMAP(イスマップ)クラウドサービスリストが公開
    ISMAPという、内閣サイバーセキュリティセンター・情報通信技術(IT)総合戦略室・総務省経済産業省が運営する、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度があるのですが、これに適合するクラウドサービスのリスト第一弾が発表になりました。AWSGCPはリストされている一方でAzureがリストに掲載されていませんが、Microsoftさんから「申請中である旨」が表明されており、掲載は時間の問題と思われます。こうした取り組みで、いよいよクラウドを用いたデジタル政府も実現に向けた歩みが加速しそうです。

先月のサーバーワークス関連ニュース

 

  • サーバーワークス、内製化支援推進AWSパートナー
    国内の10社と協同で、AWSが推進する「内製化支援推進AWSパートナー」への取り組みを表明しました。
    DX推進の為に「内製化」が標榜されるケースが増えておりますが、当然私たちもお客様のそうしたニーズを理解した上で、AWSを用いた内製化の支援を推進しております(AGC様の事例当社のサービス
    当社のスタンスとして、AWSの中でも「インフラ領域のような非競争領域は当社の様な専門会社へのアウトソースを、競争優位性を確保すべき領域は内製化」をオススメしております。

 

まとめ

  • ITのカントリーリスクは「実害」以前に「可能性を排除する」というステージに
    こちらのブログでも何度もお伝えしているように、IT製品やITプロセスにおけるカントリーリスクは、既に「実害があるかどうか」ではなく「可能性の有無」という段階にレベルがあがっています。大変残念ではありますが、イデオロギーの対立というものはそういうものだと歴史は教えています(さながら1942年に、アメリカ在住の日系人が強制収容されたようなものでしょうか・・)。
    本稿ではイデオロギーの是非を論じるつもりはなく、あくまで「IT戦略立案のお手伝い」を目指しています。その点から言えば、この事例は「こうしたリスクが自社にも起こりえる」ことを教えてくれる良いケースになったと思います。
  • モード1でもクラウドを利用する環境が急速に充実
    ISMAPによるクラウドのお墨付き、AWSによる大阪リージョンの拡充、そしてFISによる「クラウドの障害試験」など、コロナ禍でクラウドの重要性が高まる中クラウドを公共・金融などこれまで本格的な利用が進んでいなかった領域でも利用できる環境が急速に整ってきました。
    給付金の支給でも、諸外国に比べIT化の遅れが支給の遅れに直結してしまい、改めてIT化の重要性が再認識されました。ISMAPの様な取り組みが、こうした遅れの挽回に繋がることを期待しています。

 

いよいよ4月になって、皆さまの会社でも新しい期に移られたり、新入社員を迎えられた方も多くいらっしゃるのではないかと思います。若手に「IT業界は楽しい。入って良かった」と思って貰えるよう、クラウドなどの新しい取り組みを進めて、一緒に夢のある職場を作って参りましょう!

 

完全リモート環境におけるキックオフのノウハウ集(2021年4月版)

こんにちは、大石です。

先月のCloud Update for Businessの動画の中で「年度キックオフを完全なリモート環境で行ったが、意外と一体感があって良かった」という話をしたところ、これをご覧になっていたお客様から「どういうやり方をやったのか教えて欲しい」というお問い合わせを頂きましたので、現時点におけるサーバーワークスのキックオフのフォーマットと、そこに至る経緯を共有させていただきます。皆さまの会社でのキックオフ等イベント運営のご参考になれば幸いです!

 

2021年4月時点でのリモートキックオフのフォーマット

  • 前半(事業戦略パート)
    • 司会が進行を務めるが、発表は事前に収録された動画を配信
    • 1スピーカーは10分〜15分くらいで、部署長が発表
    • 時間は2時間半くらいだが、こまめに5分程度の休憩を挟む
  • 後半(コミュニケーションパート)
    • リモート環境で社員同士のコミュニケーションが減っているため、様々な会社の取り組みやプロジェクトを紹介し、誰がどんなことをやっているのか理解を深めるための時間とした
このフォーマットの良いところ
  • タイムキーピングが正確になる。リモート環境だと物理イベントよりも時間の遅延などにイライラしてしまうが、このフォーマットの場合話者が時間を守らない、配信トラブルで待たされるといったことがなくなり、運営が円滑になるだけでなく、参加者のストレスも大幅に削減できた
  • みなが同じタイミングで同じコンテンツを見つつ、チャットでもコミュニケーションできるので、一体感が出る。当社の場合、事前にSlack上に「キックオフでリアルタイムに会話をするためのチャンネル」を用意しておいたので、みんながそこに集まってニコ生の様に盛り上がることができた
  • 時間を短縮できる。リアルタイムにプレゼンをすると、どうしても情報以外の話や間などがあり時間を余計に使ってしまうが、事前に収録することで情報の密度を高めることができ、必要な情報をインプットするための効率を高めることができる

 

このフォーマットに至る経緯
  • 最初のリモートキックオフは、スピーカーが物理的に配信設備のある場所に集まって、オーディエンスは全員リモートというやり方を試したが、これはイマイチだった。まず「スピーカー」が「あちら側」、オーディエンスが「こちら側」といった感じで、どうしても距離を感じてしまう。かつ配信も(相当な機材や準備をすれば別だが)音声や映像の質、コンテンツの見せ方などのクオリティが上がらず、伝えたい情報に対してノイズが多くなってしまう
  • こうした反省を踏まえ、その次のキックオフはスピーカーも全員リモートにしたが、これはこれで新たな課題が見つかった。特に全員リモート環境だと配信トラブルやスピーカーの切替に時間がかかり、タイムキーピングが難しくなる。リモートによるリアルタイムのプレゼンだと身振り手振りで熱量を伝えることも難しいので、熱量も伝わりにくい
  • そこで今回は「スピーカーのプレゼンを事前収録する」こととして、「全員で同じ時間に同じコンテンツを見る」とした。これでタイムキーピングや配信の問題が解決できるだけでなく、動画で一部編集もできるので、自分で動画を編集したり、字幕を入れたりして、表現力を向上させることができた。全部のコンテンツをAlexa(正確にはAmazon Polly)で読み上げさせてプレゼンした部長もいた(!)こうしたチャレンジが出来るのも、事前収録のよい点だと思われる

 

その他の工夫
  • キックオフの目的を明確にして、全員必ず参加してもらうということを徹底する。オープンな会社ほどよくある「キックオフはやる意味があるのかという議論」がおきないよう、参加の目的と意義を明確にしておく
  • タイムテーブルを作って事前に共有しておく
  • 事前にSlackのキックオフ専用チャンネルを用意して、参加者を招待しておく
  • 質問はSlackでリアルタイムに聞く。回答も(できるものは)その場で答える。回答に時間がかかりそうだと思った質問はスピーカーが「あとで答える」というリアクションを押すと、自動的にそのコメントがストックされ、後ほどQ&Aタイムで答えることができるようにした
  • 動画はBoxで共有して、後からも見られるようにする(後から入社する人でも見られるようにという配慮)
  • 発表後は、各スピーカーのプレゼンの内容をパワポ1枚に纏めたダイジェスト版を用意して、社内Wiki(Confluence)の「キックオフ資料」ページに貼り付けておくこととした。これによって、いつでもこのページを見ればダイジェスト版を見ることができ、内容の振り返りにかかる手間を最小限にした(動画の見直しだと時間がかかるため)
  • キックオフの司会は2名体制で。一人だけで話しているよりも「会社のイベントとして掛け合いをしながら進行する」ことで、より一体感が生まれた
  • キックオフの開始と終了時にはかっこよい動画を流したことで、より一体感・面白さが増した(エンドロールは全社員の名前が入るというサプライズ付き!)また休憩中もBGMに加え「あと何分で再開」というタイマーを映像で配信したため、休憩も取りやすかった
  • 開催時間も変更した。物理的に集まっていた時は午後〜夕方にかけておこない、そのまま立食パーティーをしていたが、今は立食パーティーがないことに加え、全体の時間も圧縮できたので、午前中から実施した。これによって、フレッシュな状態で効果的なインプットが実現できた

 

私たちも「完全なリモートワーク体制」はまだ2年目で、このフォーマットがベストかどうか断言はできません。ですが、既に2回ほど実施してみて「これは今後のフォーマットになり得る」という感触を得ています。

もし皆さまの会社でも面白いアイディアやノウハウなどがあれば、twitterで教えて頂ければ幸いです!

2021年2月版 クラウド業界アップデート 「Amazon.comのCEOにAWSトップ、アンディ・ジャシー氏が就任!」

こんにちは、大石です。

今月も忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月(2021年2月)のクラウド関連ニュースをさくっとキャッチアップできるようにまとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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2021年2月のクラウド関連トップニュース 〜Amazon.comのCEOに、AWSのトップであるアンディ・ジャシー氏が就任〜

  • 2月のビッグニュースはなんといってもこちらでしょう!ついにAWSのトップであるアンディ・ジャシー氏がAmazon.comのCEOに就任することが発表されました!
  • 当社の事例として、東日本大震災の際に「AWSを使って日本赤十字社のサイトをリカバリーし、その後義援金サイトも48時間で立ち上げた」というものがありますが、実はこの話にはウラがあります。当時AWSJの2号社員として在籍していた、現ソラコム社長の玉川さんに「日本赤十字社さんが困っているので、AWSの利用料を免除するなどして支えて欲しい」とお願いしたのです。すると玉川さんがジャシーさんに掛け合って「利用料については支援する。ただし、このことをマーケティングに使わないで欲しい」という条件を引き出してくれたのです。
    普通のビジネスマンの感覚であれば「事例として使うので、利用料については免除する」という回答をすると思うのですが、後から聞いた話ではそうした火事場泥棒的な振る舞いで知名度を高めるのではなく、あくまでサービスの質で社会に広めていくことが第一だという考えの下、このような条件を出されたと聞いて深い感銘を受けました。
  • 米国でもUberやWeWorkの事例から「会社や経営者の倫理観が欠如していれば、瞬間的な成長は実現できても、事業の継続的な成長は達成できない」という考えが浸透しつつあり、そうした倫理観(ethics)を大切にする流れが急速に広まっています。ジャシーさんは、事業を成長させることはもちろんのこと、上の事例から分かるように正しいethicsを持っているという点でも、Amazonの次のリーダーに相応しい人物だと思います。
  • ちなみに、私ももちろんジャシーさんから出された条件はよく理解していたので日赤さんの事例はしばらく公表していなかったのですが、逆に日赤さんから「復興には長い年月がかかる。震災の事例はちゃんと話して、サーバーワークスさんとしてちゃんと利益を出して、その利益を義援金や日赤の活動資金として寄付する流れを作って欲しい」と言われ、対外的に発表させて頂くように転換しました。
    後日AWSの日本オフィスでジャシーさんと直接お会いした際に、私からことの経緯をきちんとお話ししお詫びしたところ「ノープロブレムだ。AWSとしても懸念したようなことは起きていない。一緒にこれからも成長していこう」という力強いメッセージを頂きましたので、念のため申し添えておきます!

注目AWSトピックス

  1. AWS東京リージョンの一部AZで障害が発生
    2月20日の0時頃に東京リージョンの一部のAZ(アベイラビリティーゾーン)で障害が発生しました。今回も冷却システムのトラブルと発表されており、以前の障害との関連が懸念されます。
    今回の障害はEC2, EBSといったサービスに限定されており、AWSが推奨するMulti-AZとよばれる複数AZにまたがる構成の場合は影響を免れたようです。
    AWSといえども障害は必ず発生しますので、ベストプラクティスに基づいた設計が求められます。また、FISとよばれる「障害を擬似的に発生させるサービス」についても発表されていますので、リリースされ次第使い方などを含めご紹介して参ります。
  2. Amazon CloudFront を3割引きで利用可能となる Security Savings Bundle がリリース(当社の技術ブログ
    EC2にはSavings Plans(以下SPs)という名称の、事前にある程度の利用量をコミットすることで割引を受けられるという割引オプションがありますが、これのCloudFront版が登場しました。コロナ禍で「会社からITコストの削減を指示されている」という方は多いと思いますが、そうした方にとってもこうした「AWS調達オプション」は朗報なのではないかと思います。
    ※当社が提供しているAWSコスト最適化コンサルティングはこちら

その他クラウド関連ニュース

  1. グーグルクラウドは年間5900億円の赤字
    Forbesで報じられたこのニュースは「アマゾンのAWSに大敗」といういささか誇張気味のタイトルで報じられましたが、一方でこれは「GoogleGCPにそれだけの投資をしている」ということの証左でもあります。AmazonAWS事業単体での採算を開示するようになったのはサービス提供から何年も経ってからですし、本質的にクラウドビジネスの立ち上げには時間がかかるものですので、この時点での評価は早計でしょう。
  2. Epic Games、超リアルなデジタルヒューマン作成ツール「MetaHuman Creator」をクラウドで提供
    私が2月に最もエキサイトした新サービスはこちらです。リアルタイムにビデオカメラの映像を解析して、その動きに合わせて本物の人間そっくりのキャラクターを動かすことができるというものです。
    高校生の息子がEpicが提供しているツール(Unreal Engine)を使って趣味でゲーム開発をしているので、実際に動かすところを見せてもらったのですが、ほんの30分程度で準備して実際にグリグリ動く3Dキャラを見せつけられたときには本当に驚きました。
    3Dモデルにはよく言われる「不気味の壁」と呼ばれる現象があるのですが、この仕組みですと元々の動きが本物の人間なので、動きの自然さが3Dモデル特有の不気味さを取り払っており、写真で見る以上のリアルさを感じます。
    このレベルであれば、今後こうした3Dモデルに企業のイメージタレントをやらせたり、ファッションモデルにしてライブコマースに活用したりと、ビジネスでも活用できそうです。
    より本格的なバージョンが年内に発表予定とのことですので、続報は別途お伝えしたいと思います。
  3. 中国、話題のClubhouseを規制
    先月のCloudUpdateでもお伝えした音声SNS「Clubhouse」ですが、早速中国国内で規制がかかったようです。元々Agoraという中国のサービスを利用しており「やりとりされる情報は大丈夫なのか?」という懸念の声があがっていましたが、案の定ブロックされてしまった模様です。
    これだけなら未だよいのですが、より大きな問題として、情報そのものの漏洩よりも「Agoraを使い続けることで、中国国外のオーソリティの音声データが学習されてしまうのではないか?」というものがあります。まだまだClubhouseには落合陽一さんや古市憲寿さんをはじめ、芸能人や知識人とよばれる人が集まっていますので、こうした人々の音声データが効率的に収集され完全に模倣できるようになってしまうと、ディープフェイクを用いて「ウソのご意見番を作る」ことがより簡単になってしまうのではないか?とも懸念されます。
    いずれにしても、今後のClubhouseの対応が注目されます。

2021年2月のサーバーワークス関連ニュース

  1. リモートアクセス環境を迅速に整備できる「AWS Client VPN」のホワイトペーパーを大幅アップデート
    以前AWS Client VPNホワイトペーパーを当社のホームページで公開した際に非常に大きな反響をいただき、過去一番ダウンロードされたペーパーになったのですが、今回はそちらの大幅増補版となります。
    コロナ禍で会社のネットワークにVPN接続が必要になった方には「VPNルーターにアクセスが集中してしまい、まともに使えなかった」という方も多かった様です。AWS Client VPNを用いることで、こうした問題を回避できる可能性がありますので、今後もVPNを継続して利用されるご予定の方はご一読頂ければ幸いです。
  2. サーバーワークス、2021年版「働きがいのある会社」ランキングに4年連続で選出
    毎年、社員へのサーベイをかねてGrate Place to Workへ社内の意識調査を委託しておりますが、今年は中規模部門の部でランクインを果たすことができました。社内のカルチャーを「はたらきがい」に寄せるとブラック化し、「はたらきやすさ」に寄せると「ホワイト過ぎて成長が実感できない」というジレンマが発生します。このため、当社では「はたらきがいはたらきやすさの掛け算」を大切にしており、そうした方向性が社員からも納得感を得られているものと理解しております。
    (予断ですが、この調査結果を見ると「社員が経営陣をどう思っているか」などのスコアも如実に表れるので、経営に近い方ほどメンタルをやられると思います。鋼メンタルの方にのみオススメしたいと思います... )

まとめ

  • クラウド事業の立役者、ついに母屋の主人に
    AWSという素晴らしいサービスを立ち上げ4兆円ビジネスに仕立てた張本人がAmazonという母屋のトップになるという、特に私のように昔からAWSとビジネスを行っている人には感慨深いトップ交代劇となりました。
    Appleも天才と言われたスティーブ・ジョブズからティム・クックへ、Microsoftもサティア・ナデラに代わったことで更なる躍進を遂げています。Amazonも、アンディ・ジャシーという素晴らしいリーダーに恵まれたことで、更なる躍進が期待されます。
  • Clubhouse規制は他人事ではない。ITサービスの選定にカントリーリスクも考慮を
    先月の動画でも「Clubhouseは中国のサービスを使っていて、介入が懸念される」とお話ししましたが、残念ながら懸念は実際のものになってしまいました。中国では金盾によってClubhouseが事実上ブロックされ、日本でも「天安門のことを話していたらブロックされた」という人が出ています(ただし、関連性や真偽は全て不明。会話の内容とは関係のない、別な理由の可能性もあります)。
    私も何度もお伝えしているとおり、ITサービスの選定と米中の係争は無関係ではいられません。カントリーリスクを正しく認識し「取れるリスクと取れないリスクを判断した上で利用の可否を決める」姿勢がより強く求められます。

 

当社ではこの3月1日から新しい期に入りまして、新しい期のキックオフも全てリモートで行ったのですが、私も含め会社からの発表は事前に収録し、みんなで見ながらチャットで「ああだこうだ」言い合うというフォーマットにチャレンジしてみましたが、これが意外なほどうまく行きました。

どうしてもリモート発表だと機材トラブルなどで通常のイベントよりも遅延が発生しがちですが、全て事前に収録されているのでそうしたトラブルもなく、また言い間違いなどは事前に編集したり、撮り直したりということもできるので、聞く方としても質の高い話を効率よく聞けて良かったようです。

これで当社も「全社員YouTuber計画」が一歩前に進みました!
4月にキックオフという会社も多いと思いますので、当社の取り組みをお聞きになりたいという方がいらっしゃいましたらご遠慮なくお問い合わせください!

2021年1月版 クラウド業界アップデート 「祭りだ!乗っとけClubhouse!」

こんにちは、大石です。

先月に引き続きまして、忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月のクラウド関連ニュースをさくっと10分でキャッチアップできるように、まとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

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2021年1月のクラウド関連トップニュース 〜話題のSNS clubhouse(クラブハウス)が日本に上陸!〜

1月のビッグニュースはなんといってもClubhouseの上陸でしょう!全く新しい音声SNSの新星との呼び声が高く、中毒者が続出中です。かくいう私もかなりの時間を費やしてしまっており、そのせいでこのブログの執筆が遅るなど各処に迷惑をかけています。申し訳ありません・・

そんなClubhouseがこれまでのSNSと違うポイントを簡単に纏めると以下の通りです。

ちがうところ
  • 情報を残さない揮発性
    これまでのSNSは「テキストや画像で情報を残すことで、再利用したり検索されやすくする」アプローチが一般的でした。ところがClubhouseでは会話の内容は保存されず、録音したり内容を書き起こししたりすることも規約で禁止されています。これによって発言のハードルが下がり、気軽なおしゃべりからセンシティブな話題まで、幅広い話題が取り扱われるようになっています
  • 限定的な双方向性
    Clubhouseでの会話は「room」と呼ばれる部屋の中で行われますが、この中でも「スピーカー」と「オーディエンス」に分かれており、オーディエンスは基本的にスピーカー同士の会話を聞いているだけです。コメントしたり何か意見を述べたりすることもできません(例外的に手を挙げて発言を求めることができますが、それを認めるかどうかはモデレーターとよばれる部屋の管理者に一任されます)。今までのSNSですとリアルタイムにコメントができたり「いいね」などで評価するという流れが一般的でしたが、Clubhouseではスピーカーとオーディエンスの関係を敢えて一方通行にすることで「評価やフィードバックを気にせずに、スピーカーが言いたいことを言う」という環境作りに成功しています。最近はYouTubeでも「高評価や閲覧数といった注目を集めたくて、過激な行動を取る」などの行為が問題視されていますが、Clubhouseではそうした評価を気にすること無く気軽に会話できることで、より面白いトークを引き出すことに一役買っています
  • できることが少ない
    これまでのSNSというと、文字による情報の共有だけで無く絵文字や写真、動画にメッセンジャーと「どんどん機能を追加していく」というスタイルでしたが、Clubhouseではかなり意識してできることを減らしているようです。機能の追加で複雑化したり、それによって得られる個人情報をSNS事業者が利用することで利益を上げている状況に反発が強まりつつある中、「機能が少ない」ことが「事業者に対して提供する情報の少なさ」にも直結しており、これがこれまでのSNSとの差別化につながっています
流行った理由
  • よく考えられたUI/UXと音声テクノロジー
    アプリが良く出来ていて、機能を絞ることで分かりやすくなっています(「引き算のUI」と呼ばれています)。このため初めての方でも10-20分も触ればなんとなく使い方が分かり、参加ハードルが低くなっています。
    更にテクノロジー面でも優位性があり、ZoomなどのWeb会議と異なり音声が被っても綺麗に聞こえることが、自然なコミュニケーションの成立に一役買っています(中国Agora社のテクノロジーを使っていると報道されています)
  • 標準で2人しか呼べない「招待制」
    Clubhouseへの参加は「参加者からのSMSによる招待」が必要で、しかも標準で2人しか招待できません。今風に言うと、基本再生算数が2ということです。これによって「流行に乗り遅れたくない」という心理に火がつき、早期の大量ユーザー獲得につながったようです(現在では、一定の活動を続けると招待枠が増えることが知られており、過熱感は一巡したようです)
  • 芸能人、セレブが初期から参入
    立ち上げのかなり初期から有名人がroomを作っておしゃべりをしています(落合陽一さんやこじはる、フワちゃん、フェンシングの太田雄貴さんやYouTuberのヒカルさん等)。有名人の突っ込んだ話や、逆にユルい話がきけるという面白さもあって、聞く専門(Clubhouseではゴーストと呼びます)でも十分に楽しめるのものになっています。
    これまでのSNSは「情報を発信すると、それに対する反応があってコミュニケーションが成立する」という順序だったので、発信が苦手な方には大きなハードルになっていましたが、自分のお気に入りの芸能人、有名人や友達・知り合いのおしゃべりを聞くだけでも十分に楽しめるという気軽さが、人気の理由の一つになっています
考えられる利用例
  • 製品のプレマーケティング
    これまでメーカーが消費者と直接コミュニケーションする方法は極めて限定的でしたが、例えば「今度YouTuber向けのカメラを作ろうと思っているんだけど意見をきかせて欲しい」といったタイトルでroomを作れば、一家言ある人たちが集まってきていろいろと意見を言ったりしてくれます。そうした活動を通じて「潜在的なニーズがありそうかどうか」といった感触を事前に掴むことができるようになります
  • 採用
    企業の採用活動にも使えそうです。これまでの採用は、企業側の「よい会社に見せよう」という努力と求職者側の「よいところを見せたい」という相互の努力によって成り立っていましたが、これはお互いに期待値を上げてしまい、いざ入社してみたら「こんなハズじゃなかった」という失望を生みかねません。Clubhouseの様に「本音で、カジュアルに話せる雰囲気」のある場であれば、企業も求職者も下手に期待値を上げることなく「自分にあっているか」という視点で活動ができるようになり、採用ミスマッチの防止が期待できそうです
  • 社外とのネットワーキング
    現在の使われ方などを見ていると、特定業務(人事やマーケティングなど)に関連するroomも多いようです。下手なセミナー等にでるよりもこうしたroomの方が勉強になりますし、またスピーカー同士の偶然の出会いも生まれやすいことから、ネットワーキングにも活用できそうです。特にコロナ禍で偶然の出会いが減っている中、社外とのネットワーキングによって会社に新しい風を持ち込む活動は重要度が増しそうです

Clubhouseの記事はあらゆるところで出ていますので詳細はそちらに譲るとして、私からの推薦はとにかく「やってみなはれ」です。

正直に申して、Clubhouseがそのまま生き残るかは分かりません。既にTwitterがSpacesという名称で似たような音声SNSのテストを始めているほか、facebookもこの流れを黙って見過ごすとも思えず、競争の激化は間違いありません。しかし、Clubhouseという音声SNSの新しいフォーマットは斬新かつ登場時点で非常に完成されており、相当長い間ネットで使われることになることは間違いありません。こうしたネットワークに後から参加して有利になることは何もなく、早く参入して早くネットワークを作った人が後々までその恩恵に浴することは、Twitterの津田さんやYouTubeのヒカキンさんなどが証明済みです。我々企業人としても早くこのネットワークに参加し、ビジネス機会を獲得することが最善手だと確信します!

その他の業界注目トピックス

  1. IntelのCEOにゲルシンガー氏が復帰
    このブログでもお伝えしているように、現在のIntelは技術面で競合に遅れを取っており「積極的にIntelを選ぶ理由がない」という状況に追いやられています。この状況を打破すべくCEOに伝説のエンジニア、ゲルシンガー氏が復帰することになりました。18歳でIntelに入り25歳で486プロセッサを作るなど、Intelを今のポジションにした立役者がCEOとして復帰することでIntelが苦境を脱することができるのか、大きな注目が集まります。
  2. Salesforceからデータ漏洩?実際は??
    楽天やPayPayで大量の個人情報漏洩があり、それに使われていたクラウドSalesforceだったと報道されました。これらはいずれも「クラウドのセキュリティが突破されたのではなく、利用者(ここでは楽天など)側の設定ミスが原因」だったと分かっています。同じ問題はAWSやAzure等でも起こりえるもので、対処としては ①利用するクラウドのセキュリティ機構について理解すること ②それらを意図通りに正しく設定すること ③それらが持続して機能するように、継続的かつタイムリーな調査を継続的に行うこと の3つが求められます。
  3. Alibaba Cloudが黒字化。世界3位に?
    Alibaba Cloudが2020年第4四半期に黒字化したと決算で発表されました。Gartner社のレポートを元に「IaaS市場でAWS, Microsoftに次いで世界3位になった」と報じられていますが、別な調査ではGCPの方が大きいとも報じられており、正確な比較は困難です。ただし3位のGCPでも年間の赤字額が5,900億円となっており、AWS vs Microsoft Azureの2強体制はしばらく続きそうな情勢です。

 

2021年1月のサーバーワークス関連ニュース

  1.  サーバーワークス、東証一部へ市場変更
    皆さまのお陰をもちまして、2021年1月15日をもって当社株式の上場市場が、東証マザーズから東証一部へ指定替えとなりました。今後も皆さまのご期待に沿えるよう、そしてよりよいサービスがご提供できるよう全力で事業に取り組んで参ります
    私からのメッセージはこちら
  2. 三越伊勢丹様との共同プレスリリース
    三越伊勢丹システム・ソリューションズ様、株式会社IM Digital Lab様とで「モード2開発基盤ガイドライン」を作成しました。特に歴史のある企業ほど必然的にレガシーなシステムが残ってしまいがちですが、そうしたシステムに対するアプローチと、現代求められている「顧客体験をアップグレードするためのIT基盤」とでは考え方、手法、アプローチなどが異なります。こうした前提に基づき共同で「モード2開発を最適化するためのエッセンス」を取りまとめたガイドを準備しました。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください

まとめ

  • Clubhouseでノリノリに!
    久しぶりに全く新しいSNS到来の予感です。人と人との物理的な接触の機会が制約をうけるなかで、偶然の出会いやセレブリティの話を直接聞けるなど、今までにない体験をすることができ私も非常に興奮しています。今後企業のマーケティング活動やコンサルティングサービスなど、様々な分野に適用範囲が拡がっていくと考えられるので、一度お試しになることを強く強く推薦します!
  • 内製化のワナ
    行き過ぎたITアウトソーシングの反動で、ITシステムの内製化が提唱されはじめていますが、Salesforceに限らずAWSもAzureも、現在のクラウドは自社で全てコントロールするには複雑に過ぎます。基本的な設定や設計、セキュリティの考え方といった基盤固めは、AWSならサーバーワークス、Salesforceならテラスカイといった専門的なベンダーに任せつつ、顧客に価値を提供する部分を自分たちで設計するといった適切な使い分けがベストでしょう
  • Intel復権なるか?伝説のゲルシンガー氏の手腕に期待
    このブログでもお伝えしているとおり、Intelの苦境は長い間続いてしまいそうな情勢です。ゲルシンガー氏が戻ってきたとしても、製造プロセスの改善などには複数年かかると見られており、どこまで立て直しができるのか注目です。そしてIntelの設計・製造一体化が弱みになってしまったという事実は、システムでも製造でも「内製化すればよいというものではない」という示唆に富んでいるように思われます

コロナ禍は第三波が心配されていますが、クラウドを活用することで、こうした状況でもビジネスを継続し、成長できる環境を作ることはできると思います。この情報がそのための一助になれば幸いです!

 

 

2020年12月版 クラウド業界アップデート 「AWS re:Inventで新サービスが続々発表!!」

みなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!

年はまたいでしまいましたが、忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月(2020年12月)のクラウド関連ニュースをさくっと10分でキャッチアップできるように、まとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

動画でご覧になりたい方はこちら

2020年12月のクラウド関連トピック

  • Google大規模障害
    12月14日にGoogleの各種サービス(GCP, Google Workspace, YouTube等)で大規模な障害が発生し、約45分に渡り多数のサービスが利用できなくなりました。既に原因も対策も公表されていますが、2020年は想定外の事象でクラウドサービスへの依存が高くなった反面、トラブルの大きさが際立つ年になってしまいました。なお、AWSはこうした事態への回答も用意してきましたので、下の「注目AWSトピックス」もご覧下さい。
  • facebook独占禁止法で提訴
    2020年10月のGoogleに続き、facebook独占禁止法で提訴されました。特にInstagram, WhatsAppの買収とその後のオペレーションに問題があったと報道されています。CiscoOracleに代表されるように「潜在的な競合を買収することで競争優位を持続する」というスタイルは一般的だと認識されていましたので、個人的にも「その容疑で訴えられる」というのは意外でもありました。
  • Zoomの会議内容がZoom社員によって監視されていた!
    Zoomの社員がWeb会議を監視し、天安門事件に関する会議を強制的に遮断したり、個人情報を中国政府に渡していたという容疑でFBIに指名手配されました。Zoomについては「暗号化している」はずがされていなかったり、鍵が中国を経由したりするなど不穏な動きが報じられていましたが、米中の衝突が決定的になる中でこのような事件が明るみに出ることで、一層の信用低下は避けられそうにありません。今後も動きがあればお伝えします。

注目AWSトピックス

  1. re:Invent 2020がオンラインで開催
    先月はなんと言ってもこれでしょう!AWSの年次カンファレンスre:Inventがオンラインで開催されました。昨年は日本人だけで1,800人もの方がラスベガスに一堂に会してクラウドについて学ぶという熱気に溢れたイベントだっただけに、オンラインでの開催をさみしく思っていらっしゃる方も多いと思いますが、これはこれで効率的に情報収集ができて便利な側面もありました。re:Inventのアップデートは当社のウェビナーでもご紹介しています。
  2. AWSの障害がテストできるように!
    re:Inventからエンタープライズ用途での皆さまにお知らせしておきたいアップデートを1つ。2020年はクラウドのトラブルが目立つ年になってしまいましたが、東証のトラブルでも分かる通り「絶対に止まらない、を目指すのでは無く、何か障害が起きても対処できる」ことがクラウドに限らずシステムのデザインには有効です。これまでAWS上でシステムを構築する際に、残念ながらAWSの障害をテストすることは難しかったのですが、今回発表されたFIS(Fault Injection Simulator)を用いれば障害をシミュレーションし、事前に「AWSの特定サービスが止まった場合のシステムの挙動」を設計することが可能になります。
    正式サービスは未だ先ですが、リリースされればAWSをお使いの方は事前のテストに組み込むことは必須になるものと思われますので、ぜひお見知りおき下さい!
  3. AWS再生可能エネルギー原発6基分使っていることを明らかに
    Amazonは「2040年までにカーボンニュートラルを実現する」という宣言をしていますが、実際にAWSでどのような取り組みがなされているのかが示されました。特に再生可能エネルギーの利用が6ギガワットを超えており、この利用量は「単独の企業として世界最大」とのこと。また、昨年発表されたAWS謹製のCPU "Graviton" の利用も、電源効率の改善につながっているとのこと(逆に言えば、IntelのCPUを使うとそれだけ熱で電力が無駄になってしまう、ということでもあります)

2020年12月のサーバーワークス関連ニュース

  1. re:inventのふりかえりウェビナーを実施
    私とサーバーワークスのコメンテーター松本、毎日AWSのアップデート情報をお届けしているエンジニアの加藤の3人で、re:Inventの内容のまとめをウェビナーでお届けしました。ご好評につき再演も予定していますので、ぜひこちらからウェビナーのご予定をチェックしてみて下さい!
  2. 2020年 日本テクノロジーFAST50にランクイン
    デロイト トーマツ グループが発表したテクノロジー・メディア・テレコミュニケーション業界の売上高に基づく成長率のランキング「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 2020年 日本テクノジーFast 50」において、当社が23位を受賞しました!
  3. 佐賀県産業スマート化センターのサポーティングカンパニーに参画

    佐賀県産業スマート化センターでは、事業をスマート化したい県内企業に対し、AIやIoTといった先進技術によるソリューションやこれらの導入を支援できる企業を紹介しておりますが、当社もこれに加わりました。

    サーバーワークスでは、佐賀県をはじめとした九州でのAWS導入、活用支援拡大を目指し、佐賀県内企業様のビジネスに貢献できるようご支援をしてまいります!

まとめ

  • クラウドサービスが政治的な影響を顕著に受けるように
    クラウドの影響力が増すにつれ、facebook独禁法訴訟に見られるように政治の影響を受けるレベルになってきました。既にHAUWEIの排除などははじまっていますが、今後はZoomの様な「会社のエンティティとしては欧米だが、実際の開発など一分のオペレーションは中国で行われているサービス」がどのようになっていくのか注視が必要です(私個人としては、ネガティブな方向に進むのではないかと悲観的に見ています)
  • IT業界もCO2削減に貢献すべき
    re:InventではAWSのCO2削減に関する取り組みが多数語られました。その中で「(451 researchによると)ワークロードをクラウドに移行することで、CO2排出量を88%削減できる」という様な具体的な言及もなされました。先月はAppleシリコン(M1)の驚異的な効率について言及しましたが、デスクトップもサーバーもIntel製からARM製に切り替えることによって、IT部門としてもCO2削減に貢献できる可能性が見えてきました。CO2の排出量削減が企業の社会的責任と認識されつつある今、IT部門としても積極的な行動が求められます


都下では緊急事態宣言が再発され、しばらくStay homeが続きそうですが、クラウドを活用することで、こうした状況でもビジネスを継続し成長できる環境を作ることはできると思います。この情報がそのための一助になれば幸いです。

今年もどうぞよろしくお願いいたします! 

2021年 年頭挨拶

新年あけましておめでとうございます。

2020年は歴史に残る大変な一年になりましたが、当社の事業はお陰様をもちまして堅調に推移することができました。これも、日頃より当社をご愛顧くださっているお客様、パートナーのみなさま、素晴らしいサービスを提供してくれているアマゾンウェブサービスジャパンの皆さま、そして成長を支えてくれている社員、パートナーの皆さまとそのご家族の皆さまのお陰と深く感謝致しております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

昨年末、年頭共にこのような状況で、直接皆さまとお目にかかってご挨拶することがかえってご迷惑になる可能性もありますので、年頭のご挨拶は別途動画にしてお届けしたいと思います。

www.youtube.com


(最初は動画プロデューサーから「↓こんなサムネにしたらどうか?」というアイディアをもらったのですが、内容が少し堅めだったので日和っておとなしいサムネにしてしまいました・・・)

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動画でもお伝えした通り、昨年は大変な一年だった一方で非常に多くの学びもありました。特に新入社員から聞いた話は新鮮で、「若者の方が今の状況に素早く対応できている」という私の仮説を裏付けることになりました。

「テレワークでは細かいニュアンスが伝わらない。クリエイティブなことができない」という愚痴っぽい話を聞くことが増えましたが(私もそういうグチをいう側ですが・・)そういう言い訳をするのではなく、この状況でどうやって成長していくのか、状況にどうやって適合していくのか、企業の底力が試される一年になるものと理解しております。

感染症も第三波の到来が確実で、まだまだ自分の身を自分で守る行動が求められております。当社でも「Survive and Revive」というアクションプランを設けて今の事態に立ち向かう行動指針としていますが、残念ながらまだまだ「Survive」が必要な時期であることは明白です。

どうぞ皆さまも健康にはご留意いただくとともに、このような状況でもよい一年になりますようお祈り申し上げております。

今年も一年、どうぞよろしくお願いいたします!