大石蔵人之助の雲をつかむような話

株式会社サーバーワークス 代表取締役社長 大石良

2021年 年頭挨拶

新年あけましておめでとうございます。

2020年は歴史に残る大変な一年になりましたが、当社の事業はお陰様をもちまして堅調に推移することができました。これも、日頃より当社をご愛顧くださっているお客様、パートナーのみなさま、素晴らしいサービスを提供してくれているアマゾンウェブサービスジャパンの皆さま、そして成長を支えてくれている社員、パートナーの皆さまとそのご家族の皆さまのお陰と深く感謝致しております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

昨年末、年頭共にこのような状況で、直接皆さまとお目にかかってご挨拶することがかえってご迷惑になる可能性もありますので、年頭のご挨拶は別途動画にしてお届けしたいと思います。

www.youtube.com


(最初は動画プロデューサーから「↓こんなサムネにしたらどうか?」というアイディアをもらったのですが、内容が少し堅めだったので日和っておとなしいサムネにしてしまいました・・・)

f:id:swx-ooishi:20201231171840p:plain

 

動画でもお伝えした通り、昨年は大変な一年だった一方で非常に多くの学びもありました。特に新入社員から聞いた話は新鮮で、「若者の方が今の状況に素早く対応できている」という私の仮説を裏付けることになりました。

「テレワークでは細かいニュアンスが伝わらない。クリエイティブなことができない」という愚痴っぽい話を聞くことが増えましたが(私もそういうグチをいう側ですが・・)そういう言い訳をするのではなく、この状況でどうやって成長していくのか、状況にどうやって適合していくのか、企業の底力が試される一年になるものと理解しております。

感染症も第三波の到来が確実で、まだまだ自分の身を自分で守る行動が求められております。当社でも「Survive and Revive」というアクションプランを設けて今の事態に立ち向かう行動指針としていますが、残念ながらまだまだ「Survive」が必要な時期であることは明白です。

どうぞ皆さまも健康にはご留意いただくとともに、このような状況でもよい一年になりますようお祈り申し上げております。

今年も一年、どうぞよろしくお願いいたします!

2020年11月版 クラウド業界アップデート 「SalesforceがSlackを約3兆円で買収!?」

こんにちは、大石です。

先月に引き続きまして、忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さまに向けて、先月のクラウド関連ニュースをさくっと10分でキャッチアップできるように、まとめてお届けしたいと思います。様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとして、IT戦略の一助にご活用下さい!

 

動画でご覧になりたい方はこちら

 

2020年11月のクラウド関連トピック SalesforceがSlackを2兆8,900億円で買収!!〜

11月のビッグニュースはなんといってもこちらでしょう
Cloud Update for Businessでもお伝えしているように、競争という点でSlackはMicrosoft Teamsに負け始めていて、今年9月のSlackの決算発表後には株価が20%下落するなど、単独で成長を続けられるのか市場からも疑問視されはじめていました。そうした中でのこのニュースは、米国IT産業のダイナミズムを象徴する案件として大きく報道されました。

当社も2012年からSalesforceを、2014年からSlackを使い続けている一企業として発表通りに統合されれば最高の環境になると期待しています。正直にいってChatterは使い勝手の点でSlackに見劣りがしていましたが、一方で「商談や顧客などに関連したトピックをまとめて会話できる」という他に替えの効かない機能があります。Slackの買収によってこれらがSlackに統合されれば、顧客管理+社内の情報管理という点で非常に強力なタッグになるものと大いに期待しています。

ユーザーとしては期待大の一方、AWSを事業の中心に据える私たちにとっては手痛い買収になりました。前述の通りMicrosoftはTeamsに加えSharePoint、メール(Exchange)、無敵のOfficeを束ねるMicrosoft 365があり、これらのIDを管理する基盤としてオンプレミスのActive DirectoryからAzure ADに移行する。Azure ADを使うのであればそのままインフラもAzureを使い始める、という明確かつ強力なシナリオがありました。
それに対してAWSには生産性ソリューションが事実上存在せず、上のようなAzureの導入シナリオに対抗する手段を欠いています。これに対抗するためにはネットワーク効果が非常に高いオフィスワーカー向けのソリューションを提供する必要があり、Slackはその中でも市場に残っている最後の砦とも言うべきサービスでした。これを獲得する可能性が失われたことで、AWSには「オフィスワーカーのIDをAWS上に統合する」材料が失われたと私は見ています。
もちろん、それ以外のシナリオでは依然圧倒的にAWSが有利であることに違いはありませんので、この買収によって今すぐAWSの優位が揺らぐという類いの話ではありませんが、Azureにとっては一つ優位なシナリオが強化されたとは言えると思います。

もう一つ、私が注目しているのが「イノベーションの手段としての買収」です。
GAFAイノベーションによって現在の地位を築いたことに異論はないと思いますが、重要なイノベーションのいくつかは買収によって実現されていることはあまり注目されていません。例えばGoogleYouTubeAndroid囲碁で人間を破ったAI(DeepMind)などは全て買収の成果ですし、iPhoneのSiriも買収した企業の名前です。AWSもRedshiftやAWS IoT、QuickSightなどは全て企業買収によって得た技術やサービスをAWSブランドに変えて提供しているものです。
日本企業のイノベーションというと「ベンチャーとの人材交流」とか「R&Dセンターの設立」の様に「どうやって社員に新しいことを考えてもらうのか」という方向に話が行きがちですが、普通に考えて社員が新しいことを発明・発見する可能性よりも、市場でそれが起きる可能性の方が圧倒的に高いわけですから、それらをできる限り早く発見して獲得する方が、イノベーションの成果を早く取り入れるという観点では有用といえます。
今回のSalesforceによるSlackの買収は、「それらがSlackの様に単独で3兆円近い企業であっても起きえることだ」という点で非常に興味深いだけでなく、日本のIT企業が成長を継続するためにM&AやA&Dをどうやって戦略に組み込むのか?という視点でも、非常に示唆に富んでいると考えます。

注目AWSトピックス

  1. re:Invent 2020がオンラインで開催
    11/30より、AWSの年次カンファレンス re:inventがスタートしました。毎年米国ラスベガスで開催されており、日本からも昨年は約1,800名もの方が参加されるIT業界の一大イベントであったため、楽しみにしていた方も多かったのではないでしょうか?残念ながらコロナ禍でオンライン開催になりましたが、セッションの見やすさなどはむしろ向上しており、情報収集という点では以前よりも効率が良くなったようにも思えます。こちらのリンクから登録ができますので、お時間が許す方はご参加をオススメします!
  2. AWSの売上は前年同期比29%増
    Amazonの決算が発表され、2020年第3四半期のAWS売上高が116億ドル、前年同期比29%増であることが発表されました。同時期におけるMicrosoft Azureの成長率が48%と報じられており成長率はAzureが上とみられていますが、そもそもAWSの方が売上高の絶対額が大きいため、成長率だけで比較するのはフェアではなさそうです。また私が確認した限りMicrosoftの決算発表では「Intelligent Cloud」といって、AzureだけでなくWindows ServerやSQL Serverを含めた状態で130億ドルという発表になっておりAWSとのapple to appleの比較は困難です(なぜ報道各社が48%成長と報じているのか、ソースを確認することはできませんでした)。純粋にAzureのみでの表記が待たれるところです。
  3. AWSMacが動く!
    なんとAWS上でMac OSを動かすことができるという驚きのニュースが飛び込んできました。Mac OSiOS向けのアプリ開発にはMac OS+Xcodeの環境が必須のため、iOSアプリの開発をされている方や、FileMakerのようにMac OSでのみサポートされるアプリケーションをお使いの方にとっても新しいオプションが出てきたことになります。
    (注:もちろん、直接ディスプレイをつなぐことはできませんので、Macの画面を使うためにはVNCという別なアプリケーションを用いてネットワーク経由で接続することになります)
    後述しますが、Appleシリコン(Apple製CPU)搭載Macの登場によって、もしかしたらWindows一辺倒の企業PCにも風穴が空くかも知れないという雰囲気が漂っています。そうした中で「企業内PCをMacに移行できるかどうか、事前にAWSでテストできる環境が提供された」という点においても非常に興味深いリリースだと思います。2021年にはM1チップ搭載のBig Sur(Mac OSの最新バージョン)も提供されるとのこと。楽しみに待ちましょう!
    ※正確には12月のニュースなのですが、速報の意味もこめて記載しました

AWS以外のニュース

  • Googleフォトが有料化
    2015年以来人気を博してきたGoogleフォトですが、2021年6月からアップロードされる分については有料化されることになりました。クラウドサービスは便利な反面、値上げのリスクは以前から指摘されていましたが、はからずもそれが現実のものになってしまいました。
    AWSは継続的な値下げをしている一方でGoogleは個人・法人サービス問わず価格戦略が場当たり的に見え(BigQueryやG Suite等)これが、Googleが法人向けクラウドの分野で覇権を握るに至っていない理由の一つになっているものと考えられます。
  • M1チップを搭載したMacが発売
    Appleシリコンと呼ばれる、Apple謹製のCPU(M1)を搭載したMacが発売になりました。これが驚きのパフォーマンスで、Intel CPUを積んだ過去のMacを大幅に超えるパフォーマンスと低消費電力を達成していると話題になっています。
    ここまで圧倒的なパフォーマンス差があると、同じコストを払ってもWindowsよりMacの方が快適でバッテリーの持ちもよく処理できる作業量が多い、という具合に優劣が明確になりそうです。そうなると「社内PCでもWindowsではなくMacを選択する」企業も今後増えるものと思われます。
    当然、その場合使い勝手の問題がでてきますが、新しいMacではiPhone, iPadアプリも一部動作することや、ブラウザ経由で各種クラウドサービスを利用するケースが増えていること。さらに前述の通りAWS上で事前にテストができる環境が整ったことなどを考えると、以前よりもWindowsからMac OSへの乗り換えハードルは下がっているものと思われます。

 

2020年11月のサーバーワークス関連ニュース

  1. 金融機関向けホワイトペーパーを公開
    当社でも琉球銀行様など一部先進的な金融機関でのAWS導入は始まっていましたが、三菱UFJ銀行などメガバンクが本格的にAWSを使い始めたという報道を受けて、金融機関でのAWS利用検討は大きく拡がり始めています。ところがいざAWSを使い始めようとしても、セキュリティに対する社内の説得材料、事業計画の書き方のポイントなど実務面におけるハードルが高く、クラウドの導入は「総論賛成、各論反対」で進まないという事態が散見されておりました。
    当社ではこうした状況を打破すべく、実際にメガバンクでクラウド導入を主導したスペシャルチームが、メガバンクでの経験をベースに社内手続き・説得材料に特化したホワイトペーパーを準備しました。これにより、より社内での合意形成が円滑に進むことになると期待しています。
  2. re:Invent 2020向け特設サイトを公開
    今年のAWSの年次カンファレンスre:Inventはオンラインでの開催となりましたが、当社でもこちらで発表されたニュースや付帯する情報など、当社が発信する情報を集めたサイトを公開いたしました。
  3. サーバーワークス、クラウド導入を支援するGoToクラウドキャンペーンを開始
    これからAWSを使い始める方や新しくAWSアカウントを開設する方向けにAWS利用料が30%引きになるGoToクラウドキャンペーンをスタートしました。国のGoToは見直しが始まっていますが、当社のGoToキャンペーンは継続しますので安心して(?)ご相談下さい!

まとめ

  • イノベーション ≒ 戦略的M&A
    SalesforceによるSlackの買収は、イノベーションを起こす手法としてのM&Aに注目すべき好例と言えそうです
  • Appleシリコンに注目
    Intel製CPUよりもARMベースのCPUに分がありそうだとお伝えしてきましたが、いよいよデスクトップの分野でも優勝劣敗が明らかになり、企業PCにもMac OSを検討すべき時期が到来
  • re:Inventに注目
    AWSの年次カンファレンスre:Inventで今年も注目のサービスが続々と発表されています。続報をお待ちください

コロナ禍は第三波が心配されていますが、クラウドを活用することで、こうした状況でもビジネスを継続し、成長できる環境を作ることはできると思います。この情報がそのための一助になれば幸いです!

 

 

2020年10月版 クラウド業界アップデート

こんにちは、大石です。

先月に引き続きまして、クラウド業界のアップデートをまとめてお届けしたいと思います。ぜひクラウド業界についてキャッチアップしたり、様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとしてご活用下さい!

(11月16日に動画もアップしましたので、こちらも是非ご覧下さい 

2020年10月のクラウド関連トピック

  1. Google独占禁止法訴訟が始まる
    GAFA首脳が公聴会に呼ばれるなど不穏な動きが続いていましたが、ついにGoogleの独占に対して司法省が提訴に踏み切りました。特に「Appleに対して巨額のリベートを支払うことで、iOSの標準検索エンジンGoogleにしている」点が大きく取り沙汰されています。Appleはこの取引が継続できなくなる可能性を考慮し、独自の検索エンジンを開発していると目されています。
  2. 東京証券取引所で取引が終日停止
    10月1日に東京証券取引所の売買システムarrowheadで障害が発生し、丸1日取引ができなくなりました。ITに携わる方であれば「システムは必ず止まる」という認識をお持ちだと思いますが、報道では「信用問題だ」「言語道断」などと厳しい論調が相次ぎ、図らずもITリテラシーのギャップが浮き彫りになりました。
    その一方、翌日に行われた東証の謝罪会見では、横山CIOの対応がエンジニアを中心に絶賛され「システムを運営する主体の説明責任」のレベルを1段階引き上げた歴史的な会見だったと見なされました。
  3. クラウドのトラブルが連続
    Microsoft 365において9/29、10/7に、AWSの東京リージョンでも10月22日にAZ(アベイラビリティーゾーン。論理的なデータセンター)間通信の障害が発生し一部サービスに影響が出ました。
    どちらも表面的には「クラウドの障害」なのですが、前者は「全世界で全サービスの停止」、後者は「部分的な停止」という違いがあります。Azureはインフラ層からActive DirectoryやTeamsといったアプリケーション層までをカバーしている点が魅力ですが、一方で一度サービス障害が起きると影響が多岐にわたってしまい、安定性に課題を残しています。

注目AWSトピックス

  1. 総務省による第二期政府共通プラットフォームがAWS上で運用開始
    以前より「クラウド・バイ・デフォルト」という宣言は出されていましたが、実際に行政サービスでAWSが使われ始めている事例が明らかになってきました。デジタル庁の新設に伴い、行政機関でもDXの加速が期待されます。
  2. Amazon Rekognitionでマスクの有無を判定可能に
    Amazon Rekognitionを使うことで人物の判定などはこれまでも実現していましたが、コロナ禍のご時世に合わせてマスクの有無なども判定できるようになりました。オフィスや店舗の入室時チェックなどにも利用できそうです。こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧下さい。
  3. Appleのオンラインによる新製品発表会がAWSを用いて配信
    9月、10月と2ヶ月続けてAppleの新製品発表会が行われましたが、これらがAWSを用いて配信されたと伝えられました。コロナ禍に合わせて(事前に録画された)映画仕立ての動画で新製品発表会を行っていますが、クオリティの高さもあって好意的に受け止められているようです。

AWS以外のクラウドサービス関連

  • 日本マイクロソフトがAzureの年度計画を発表
    最重要分野として「クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズ」を、また「既存アプリケーションのAzureへの移行」「クラウド導入プロセスの標準化とクラウド・センター・オブ・エクセレンス(CCoE)文化の醸成」にも引き続き注力とのこと。これらの実現のためにAzure Baseという物理的なデモ+コワーキングスペースを全国10カ所に展開。AWS Loftの対抗と思われますが、よりパートナー色を強くしている点がマイクロソフトらしく、大いに注目されます。
  • GoogleがG SuiteをGoogle Workspaceに改名
    基本的には名称変更とされていますが、プランによって最大利用可能人数が減ったり、ストレージの最大容量が減ったりするなど利用者視点では一部改悪に見える部分もあるため、注意が必要です。
  • Alibaba Cloudの売上は年7,400億円に
    Alibaba Cloudは300万の有料顧客を有しており、年間売上高は70億ドル(約7400億円)、2021年度中には事業として黒字化とのこと。米中の摩擦やコロナショックもあり国内でもAlibaba Cloudの話題が取り沙汰されるケースも減少気味の様ですが、中国内での事業は順調に伸びているようです。

 

2020年10月のサーバーワークス関連ニュース

  1.  バリュエンステクノロジーズ様のOnelogin事例を公開
    当社ではAWSだけでなく、AWSと一緒に使われるクラウドサービスの販売・技術支援も行っています。特に最近は複数のクラウドサービスを使い分けるというユースケースが増えていることもあり、シングルサインオンを実現するクラウドサービスOneLoginの技術サポートも提供しております。
  2. Gartner社のレポートにサーバーワークスが掲載
    ITの調査会社として最も権威があるGartner(ガートナー)社の調査レポート「Market Guide for Public Cloud Managed and Professional Services Providers, Asia/Pacific」に当社が掲載されました。米国ではITベンダー選定に当たって最初に参照されるものがGartner社のレポートと言われるほど意志決定に大きな影響力を有していると言われています。国内ではそうしたケースは多くないようですが、今後プロフェッショナルCIOと呼ばれるポジションの方が増えるに従い、既存ベンダーや過去の経験よりも、第三者評価を重視する傾向が強まると考えられます。

まとめ

  • GAFAによる市場の寡占を解体するのか、はたまた米中貿易戦争に備えて敢えてGAFAに力を残しておくのか。個人的には米国は後者を選択すると予想するが、今後しばらくは微妙な局面が続くことは間違いなさそう。
  • システムのトラブルが社会に与えるインパクトは拡大の一途。従来型のフォールトトレランスを追求するアプローチから、(クラウドを活用し)フェイルセーフへの転換を。
  • AWSは公共分野でも拡大中。クラウドを用いてどのように行政サービスをデジタル化していくのか、今後の取り組みに注目。

 

これを書いている11月5日は、アメリカの大統領選挙の開票が進んでいる最中です。どちらに転んでも一波乱も二波乱もありそうですし、先月からお伝えしている通り、米中貿易戦争と相まって「IT業界も対岸の火事では居られない」という状況が続いています。

私たちにできることは「正しい情報を元に、正しく備えること」だけです。このブログと動画が、みなさまの「備え」のお役に立てば幸いです!

2020年9月版 クラウド業界アップデート

こんにちは、大石です。

先月に引き続きまして、クラウド業界のアップデートをまとめてお届けしたいと思います。ぜひクラウド業界についてキャッチアップしたり、様々なニュースから今後の展開を読み解くヒントとしてご活用下さい!

(こちらの記事の内容は、YouTubeに解説動画があります。こちらも是非ご覧下さい)

2020年9月のクラウド関連トピック

  1. TikTokの売却が大荒れ
    米国での事業継続に期限を切られ、Microsoft陣営が買収するものという観測もありましたが、現時点ではOracle/Wallmart陣営がTikTokの米国事業を買収するという流れに。しかし中国政府は難色を示していると言われ最終決着まではまだ時間がかかりそうです。いずれにしてもこの問題、これまでITサービスは中国からの一方通行(中国のサービスは中国本土、海外両方にアクセスできのに対して、中国外のサービスは中国にアクセスできない)であったという問題に米国が明確にNoを示した形になりました。TikTok以外にも今後様々なサービスが同様の措置にあうものと見られ、残念ながらITサービスを利用する上での新しいリスクが顕在化しました。
  2. ARMがNvidiaに売却
    ソフトバンク保有していたARMがGPU最大手のNvidiaに約400億ドルで売却されることになりました。ARMはCPUの設計図を各社にライセンスするというビジネス形態のため、自社でチップを製造もしているNvidiaにARMが売却された後も、同様のライセンスビジネスが破綻なく継続できるのかが注目されます。
  3. スマホ決済口座による不正が明るみに。eKYCに注目
    ドコモ口座を狙った不正な預金引き出し犯罪が発覚。ドコモ口座に対する銀行口座の紐付け(にあった一部セキュリティ的な甘さ)が狙われた格好だが、現時点で手口の詳細は不明。いずれにしても口座振替を行うためには正確な本人確認が欠かせず、そのためにはeKYC(electronic Know Your Customer)という仕組みの実装が不可欠に。はからずも、先月ご案内した AWS Fraud Detectorの様な仕組みがあれば防げた(かもしれない)事件となりました。


注目AWSトピックス

  1. AWS Summit Tokyo 2020 がオンラインで開催
    コロナ禍のあおりで物理的な開催は中止となりましたが、代わりに9月8日〜30日の日程でオンラインでの開催となりました。物理的な開催となれば相当な人出が予想されましたが、オンラインですと在宅やオフィスに居ながら快適に視聴できるので、これはこれで情報収集の手段としては効率的だったのではないかと思います。
  2. AWS Marketplaceが日本企業にも開放
    待望のAWS Marketplaceが日本企業にも開放されました!(これまでは米国内の銀行口座が必要で、Marketplaceへの出展はかなりのハードルでした)
    国内のパッケージベンダーさんにとっては、新たな販路拡大につながることが期待されます。また、ユーザー企業にとっても、これまでアプリケーションのインストールや設定にそれなりの労力がかかっていたものが、AWS環境限定とはいえワンクリックで実装できるようになりますので、アプリのテストやインストールにかかる手間を大幅に削減できる可能性があります。
  3. AWS Graviton2プロセッサを搭載した新しい Amazon EC2 T4g インスタンスがリリース
    ARMベースのAWS謹製CPUであるGraviton2を用いたEC2インスタンスに、新しいT4gインスタンスが追加されました。今年の5月からM6gインスタンスが使えるようになり、だいぶ裾野が広がりましたが、マイクロサービスの様な比較的小さなスケールのアプリケーション向きのインスタンスが追加されたことで、大幅に適用領域が広がりました。各方面から利用レポートが出始めていて、(おおむね)IntelベースのCPUと比べてコストもパフォーマンスも優れているという高評価が多いようで大いに注目されます。

AWS以外のクラウドサービス関連

Microsoft社がIgnite 2020を開催

Microsoft社のイベント

  • Azure VMware Solution正式サービス開始
    サードパーティーに依存することなく、AzureでもVMwareとのハイブリッド環境が構築できるようになりました。
  • Azure Arc enabled servers正式サービス開始
    マルチクラウド環境のWindowsLinuxサーバをAzureで集中管理。AWSで稼働しているLinuxマシンもAzure上から管理できるようになります。Azureでは、AWS利用料の可視化も提供しており、管理機能をAzureで統合させるシナリオの様です。
  • Azure Communication Servicesプレビュー公開
    個人的にIgnite2020で最もヒットしたものがこちら。ビデオ会議やチャット機能などを組み合わせて独自の電子会議アプリなどを開発できるサービス群。Microsoftは既に協力なコミュニケーションサービスを持っているので、これらを統合して自前のアプリを作ることができれば、高機能なライブコマースの仕組みなどを簡単に作ることができるようになると期待されます。

そのほかにも、絶好調なTeamsへの様々な機能追加が発表され、Slackを一気に追い越し追いつけないレベルにしようとする強い意志を感じました。

Google
  • Google Tables発表
    新しいノーコード開発ツール「Tables」が発表されました。複数人でタスクを共有するプロジェクトマネジメントや、簡単な顧客台帳などが作れるという触れ込みでExcelの置き換えが当面のターゲットの様です。
    Googleは今年初めにAppSheetというローコード開発ツールを買収しており、この分野での集中的な投資が目立ちます。

 

2020年9月のサーバーワークス関連ニュース

  1. ファミリーマート様(ファミペイ)事例を公開
    2019年にリリースされたファミペイのインフラにAWSが採用され、導入パートナーとして当社が選ばれた理由についてお客様からの声と共に発表させていただきました
  2. pieCe Liteリリース。AWS利用料金が▲5%に
    コロナ禍でコスト削減の優先度が高まる中、AWS利用料も削減したいというお声を元に、各種付帯サービスを取る代わりにAWSコストに最適化された、AWS利用料の請求代行サービス pieCe Liteをリリースしました。詳しくはこちらをご覧ください
  3. テレワーク実践ガイドブックを公開
    コロナ禍で急遽テレワーク、リモートワークを実施する必要がでてきた皆さまにとっては、様々なつまづきポイントがあると認識しています。当社では2012年からテレワークを実践してきましたが、こうしたつまづきを回避するためのITや経営上の施策についてポイントをまとめたガイドブックを公開いたしました。こちらから無料でダウンロードできますので、ぜひご利用ください

まとめ

  • 米中貿易戦争の余波がITにも押し寄せつつある。製品選定やIT戦略を描く上で無視できないレベルになりつつあることを念頭におく必要あり
  • CPUの勢力図が確実に書き換わりつつある。サーバーサイドでもARM系が有力な選択肢に。アプリケーションの購入や自社アプリケーションのアーキテクチャー選定時に考慮を
  • 各社ノーコード製品がますます充実。汎用品はクラウドSaaS)を。自社特有の業務については、ノーコード開発を最優先に検討すべき

 

今月は以上となります。まだまだクラウド業界からは目が離せませんね〜。来月もお楽しみに!

2020年8月版 クラウド業界アップデート

こんにちは、大石です。

第2波とおぼしき新型コロナウイルスの流行も少し落ち着きを見せ始めているようですが、まだまだ余談は許さない状況です。人出が少し戻ってきたとはいえ、こうした中でなかなか「お客様と直接お話ができない」「情報がタイムリーに入ってこなくなった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? かくいう私も、先日とある大企業のCIOをお会いした際に「御社を含め、今まで日参してくれていたベンダーさんが来てくれなくなって情報収集に難儀している」というお声を頂戴し「これはいかん」と思いまして、今月からしばらくの間、ブログとYouTube(動画はこちら)で、主に企業でITの意思決定に携わる方々に向けて「今月のクラウド業界アップデート」を間お送りしたいと思います。 ※YouTube動画とこのブログとは基本的に同じ情報になりますので、どちらでもお好きなソースをご利用ください

2020年8月のクラウド業界アップデート

  • リモートワーク関連サービスが賑やか。Microsoft Teamsの躍進
    • もともとチャットベースのコラボレーションツールとしてはSlackが先発で、2019年のIPO時には時価総額が2兆円を超えるという破竹の勢いでしたが、Microsoft TeamsはOffice 365へのバンドル効果もあってあっという間にユーザー数でSlackを追い抜き、最新の発表では7,500万ユーザーと報じられています(対するSlackは2019年10月の発表時で1,200万ユーザー。以後はユーザー数の発表なし)
    • Slackはこの販売方法は独禁法違反だとして、EUに提訴中。訴訟の行方はともかく、クラウドサービスが充実することで逆に企業のIT管理が複雑性を増す中、SlackやBoxといった「その分野におけるベストな製品を組み合わせる、ベストオブブリード」という使い方から、Microsoft 365の様に「統合されたスイート」を求める声が高まっている様に見受けられます
  • Zoom大躍進。ZoomがOracle Cloudで動いている?

    • このコロナ禍で躍進したクラウドサービスといえば、Microsoft Teamsともう一つが「Zoom」。Oracle Cloudが「ZoomはOracle Cloudを選んだ」というリリースを出したことでクラウド業界の注目を集めましたが、実態は少し異なりそうです。
    • AWSから反論が出ていて、大半はAWSを利用しているとZoomのCEOも認めています
  • CPU業界に大変革。AWSAppleもCPUはIntel製から自作へ

    • CPU業界に大変革時代の到来です。今までCPUといえばIntel一強の時代が長く続いていましたが、自作PC業界では1−2年程前からAMD優勢が確定的に。IntelがCPUの歩留りで苦戦しており、国内でもパソコンやサーバーの入手に時間がかかっている状況が生まれていましたが、そうした苦戦をよそにARMアーキテクチャー勢やAMDなどがIntel製よりも高精細(≒高性能かつ低消費電力)なチップの量産に成功しており、業界の地図を塗り替えようとしています
    • AWSもチップを自作していることを昨年の年次カンファレンス「re:Invent」の中で発表しています。それらのインスタンスの方がコストパフォーマンス上有利だと認識されており、特にサーバーではIntel製一強だった時代に終わりが近づいています
    • また、今年行われたApple社の開発者向けカンファレンスでも「今後はIntel製をやめ、自社開発のCPUに切り替えていく」と発表されており、CPUの勢力図は今後数年で大幅に書き換えられることが予想されます
  • Apple税は許せない?世界を揺るがすゲーム「フォートナイト」とは

    • これもIT業界の大きなニュースです。まずはフォートナイトというゲームについて説明する必要があり、これがまた長くなりそうですので別なブログ記事でご紹介したいと思います。

AWSの注目アップデート

  • AWS Fraud Detectorが正式リリース
    • オンラインでの購買やアカウント作成などにおける不正を検出することができるサービスです。Amazon.comが過去20年にわたって培ってきたノウハウが投入されていることをウリにしています。
    • コロナ禍で様々な
  • Amazon Connect CTI Adapter for Salesforce v5がリリース
    • Amazon Connectをご存じでしょうか?簡単に言えば「コールセンターのような電話の仕組みを、AWS上で簡単につくることができる」というサービスです。
    • 電話イベントをトリガーとして、セールスフォースのデータ操作や画面表示を制御できます
    • たとえば、電話着信時に電話番号で顧客情報を検索し、該当ページをポップアップ表示するような機能を自由に実装できます
    • もちろんこれ以外にも様々なアップデートがありました。特に開発者向けのサービスが精力的にアップデートされており、AWSを用いた開発環境がますます充実しています(もちろん、GitHubというソースコード管理サービスをMicrosoft社に買収されたので、これに対抗していく必要性を感じている、という背景もあるものと思います)

AWS以外のクラウドサービスにおけるトピックス

  • Microsoftのパートナーに向けて、Inspire 2020が開催されました(正確には7月開催)
    • Azure Well-Architected Framework:元々提供されていたが、再度プッシュされた。AWSにも同様のフレームワークがあるが、
    • Azure Stack HCI (Preview)
      • 第二世代のハイブリッドクラウドソリューションがでてきました。AWSAWS Outpostsという名称でこうしたサービスを提供していますが、キャリアや金融などより大規模なインフラをクラウド化するためのソリューションが出揃ってきたという印象です
    • そのほかにも様々な事例や新サービスの発表がありましたが、やはりTeamsの伸びと各種サービスとの統合について多くの時間が割かれていたのが印象的でした。AWSとの健全な競争を通じて、クラウド市場が正常進化していくことを期待しています

サーバーワークスのアップデート

2020年8月版は以上です。今回のアップデートは少し時間がかかってしまいましたが、来月9月分以降はタイムリーに情報をご提供する予定です。ご期待下さい!

「その仕事、全部やめてみよう」はとりあえず読んどけ

こんにちは、大石です。

 

エンタープライズIT業界には私が勝手に三銃士と呼んでいる人たちがいて、

f:id:swx-ooishi:20200810140207j:plain

ソラコムの玉川さん、HENNGEの小椋さん、クレディセゾンの小野さんという40代3人の経営者を「これから日本のエンタープライズIT業界を変えていく3人」として、いろんなところで紹介させて頂いているのですが、そんな小野さんが「本を書いた」とのことだったので早速読んでみました。

f:id:swx-ooishi:20200810132859p:plain

 

結論を先に言うと、

「IT業界の人はとりあえず全員読んどけ」

です。

 

こういう情報過多の時代ですから「DX」だの「シリコンバレーの流儀」だの「2ピザルール」だのを断片的に見聞きすることは多いと思うのですが、「それがどういう理由で大切なのか」「それを自分たちのチームで実践するためにはどういう方法をとるとよいのか」ということを知る機会はそれほど多くありません。本書ではこうしたTipsの背景まで丁寧に、体系的に教えてくれます。

周りを見渡してみても「シリコンバレー、日本のベンチャー、日本の大企業」でそれぞれ仕事をしてちゃんと結果を出している人って数えるほどしかいないと思うんですよね。そんな奇特なキャリアをお持ちだからこそこういう本が書け、そして受け手にとっても納得感を持って腹落ちして読めるんじゃないかと思います。

 

私が代表をしているサーバーワークスという会社でも、大切にしている価値観やオペレーションがあるのですが、本書にもそうしたやり方や考え方に対して思想的な裏付けがなされており、「既にやっていること」に対する見方が深まった点も強調しておきたいと思います。

  • 「顧客視点」(P.24)
    • 私たちが「行動指針」と呼んで大切にしている価値観の中に「顧客視点」というものがあるのですが、これが意外と難しいんです。みんな顧客視点で考えよう、行動しようとは思っていても、いざ製品開発やプロジェクトの現場で「その価値観を具体的な行動にする」際に本書でいう「谷を埋める」アプローチになりがちです。そういうワナの存在や「真に顧客視点なアプローチ」について再考する良いきっかけになります
  • 障害から改善のやり方(P.145)
    • 私たちは過去20年にわたってITインフラの運用をやってきているので、障害を改善する仕組みを大切にしているのですが、改善のアプローチを考える際に必ず「その仕事そのものを辞められないか?」ということを最優先に考えるようにしています。歴史があったり改善を重視する組織ほどムダな仕事が増える傾向にあると思いますが、そうした組織にも「To Stop」リストの考え方は非常に有益だと思います
  • 「称え合う文化」(P.214)
    • これは本当に大切ですね。私たちもをお互いに称え合い、感謝を伝えるピアボーナスの仕組みを導入していますが、これは本当によかったと思います


その他にもエンジニアのピープルマネジメント、チームマネジメント、組織マネジメントについて具体的なアプローチと共に詳解されているだけでなく、個人のキャリアマネジメントについても非常に実践的なアドバイスが示されており、ITに携わる人であればどんな方が読んでもためになる、将来の指針になる何某か得られるのではないかと思います(早速私も課長、部長陣に読んでおくようにお願いし始めたところです)。

 

そんな本書ですが、気持ちよく読み終わるためにほんのちょっとだけ注意すべき点もありますので、 最後にその注意点を述べて書評の締めとさせていただきます。

 

注意点

  • この本を一読すれば分かるように、小野さんは本物のハッカーです。ハッキングを広義に「最小の労力でシステムへのアクセスを獲得し、得られる便益を最大化すること」と捕らえるなら、この本は「みんなに優しくIT業界で生き抜く方法を体系的に教えるよ〜」という羊の顔をしつつ、あなたの心をハッキングしバックドアを仕掛けられ、ブログやツイッターをフォローしたりクレジットカードをセゾンに切り替えたりして、二度と小野教から抜けられなくなる可能性を秘めています。いや、もしかしたらこの本の存在は、我々小野フォロワーやIT業界に対して仕掛けられた壮大なソーシャルハッキング行為なのかもしれません・・・
  • この本はIT業界で生き抜くための知恵と、知恵の背後にある考え方を体系的に伝えてくれるまぎれもない良著で相当数売れることになると思いますが、これらの印税はもれなく小野さんのワイン代になります。例え印税がムサンヌになっても、「小野さんが美味しいワインを買ってまた本書の様な良著を書いてくれればいいや」というパトロンヌ的な、海のように広い心が不可欠です
    ※ムサンヌとパトロンヌについてはこちら
  • 後書きが反則的にズルいです・・。あれ?目から汗が・・・

月2万円のリモートワーク手当について

こんにちは、大石です。

既報の通り新型コロナウイルスが猛威を振るっております。罹患された皆様にはお見舞いを申し上げるとともに、こうした状況に立ち向かってくださっている医療関係の皆様、私たちの生活インフラを支えてくださっている皆様にこの場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。

感染症対策には「3密を防ぐ」という認識はみなさま共通だと思いますが、会社というのがこの「3密」の条件に怖いほど当てはまっております。 もともと私たちは社員が7人の時に6人がインフルエンザにかかってしまい、会社が潰れかけたという苦い経験があったため、感染症にはかなり気を遣っておりました(インフルエンザワクチンは会社補助で毎年全員が接種したり、会社で咳をしていたら帰ってもらう、etc)。 さらにリモートワーク(テレワーク)についても2012年から本格的な制度化を進めてきた結果、日常的に9割の社員が利用している状況であったため、2月下旬には早々と原則リモートワークへ移行を始めておりました。

私たちはクラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンを掲げていますが、そのために「社員に、はたらく環境についての選択肢があること」を重要視しています。 物理的に出社するのでもテレワークでも、どちらでも「ケース・バイ・ケースで生産性が上がるやり方を自分で選んでください」というスタンスこそが働きやすさにつながる、という考えの下で、選択肢の提供を大切にしてきました。 ところが、現在の様に緊急事態宣言がでている状況において選択肢はありません。当社も2週間前から出社停止としており、事実上選択肢は除外された状況です。

この未曾有の危機を乗り切るために、私たちは今後の行動原則となるアクションプランを策定しました。それが「Survive and Revive」です。 細かい内容は今後の戦略にも関わるので割愛しますが、要約すると以下のようなものです。

  • Survive:今はとにかく緊急事態。徹底的にダメージを減らし生き残ることを最優先する
    •  社員、パートナー、ご家族の健康を最優先する
      • 会社でクラスターを作らない(出社の原則停止)
      • 物理的なイベントをキャンセルする
    • 生産性の低下を防ぐ
      • フルリモートワークが長期に続く前提でオペレーションを行う
      • 強制的なリモートワークのための必要な補助を行う
  • Revive:今後生まれる新しい市場を開拓し、更なる成長につなげていく

私たちサーバーワークスでは、こうした原則に従い、強制的なリモートワークでも生産活動へのダメージを最小限にとどめることを目的に、全社員に一律月額2万円のリモートワーク補助を実施することにしました(期間は強制的なリモートワークが解除されるまでとなります)。

一時金を出す会社もあると聞いていますが、リモートワークのために一時的に支出が必要なケースは(社内アンケートによると)ディスプレイ、モバイルルーター等の購入であり、こうしたものはすでに会社のものを貸し出す措置をとっていたため、当社の場合大きな問題にはなりませんでした。 どちらかというと、光熱費や、自宅のインターネットが混雑でWeb会議等に耐えられないため、やむを得ずモバイル通信で行うことに伴うコスト増といった継続的にかかってくるコストの負担について考慮してほしいという声が聞かれたため、その手当を行うことにしたものです。

私もリモートワーク、特にWeb会議の品質を上げるためにマイクを買ったりカメラを買ったりマイクの周りに吸音材を買ったりグリーンバックを買ったりついでに動画編集ソフトを買ったりあと今日はスイッチャーとLEDライトがAmazonさんから届いたりと、リモートワークに伴うコスト負担増については痛いほど理解しているので、こうした補助が社員のみなさんの懐へのダメージを抑え、かつ「生産性の低下を最小限に防ぐ」ことにつながることを願ってやみません。

 

まだまだ感染症の状況は予断を許しません。 今は私たち一人一人が自分の身を自分で守り、こういう状況でも生き残り、成長できる会社、社会であるということを証明する他はありません。 私たち全員で、この危機を乗り越えていきましょう!!